アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

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2023年06月06日 配信
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アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!
BPO

アウトソーシング(outsourcing)とは、「外部から経営資源(主に人的資源)を調達する」ことを指します。つまり、これまで社内のリソースで行っていた業務の一部分、またはすべてを専門会社に委託することを指しています。
近年、従業員をコア業務(※1)に集中させるため、ノンコア業務(※2)を中心に外部へアウトソーシングするケースが増加しています。 今回は、アウトソーシングの基礎知識とそれに適した業務、また委託するメリットの大きい業務についてご紹介します。

※1 コア業務…直接的に利益を生み出す業務。一般的に非定型で難易度が高く、専門的な判断を要する業務であることが多い。
※2 ノンコア業務…利益には直結しない、コア業務を支援する業務。一般的に定型的で難易度は低めであることが多い。

アウトソーシングとは?

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

アウトソーシングは、1989年から1994年頃に生まれた経営手法の一つです。当時は人的資源や必要経費の削減を一番の目的に、アウトソーシングを取り入れることが一般的でした。近年はこれに加えて、従業員をより付加価値の高いコア業務に集中させることで、企業競争力を強化させるための手段として、アウトソーシングを活用する企業が増えています。

またアウトソーシングは、自社の人手不足問題を解消し、社内業務の効率化と生産性向上を図る方法の一つとしても注目されています。

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人材派遣とは?

人材派遣とは、「働き手を雇用する人材派遣会社」から「人材を必要とする企業」へと人材を派遣するサービス形態です。
主に「登録型派遣」「紹介予定派遣」「無期雇用派遣」の3タイプに大別されます。登録型派遣は労働者派遣契約の期間内のみ派遣会社が派遣労働者を雇用し、派遣先企業へ派遣する形態です。

紹介予定派遣ではあらかじめ定められた派遣期間の終了後、派遣先の企業と派遣社員の合意をもって、派遣先企業の直接雇用に切り替わる契約形態です。また無期雇用派遣は、派遣会社の従業員自らがA社・B社とさまざまな企業で働く形態です。無期雇用派遣は労働者派遣契約の有無に関わらず、派遣会社との雇用が維持されていることが特徴です。

アウトソーシングと人材派遣の違い

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

自社の従業員以外が、自社の業務を遂行する主なサービスの例としては、「アウトソーシング」と「人材派遣」が挙げられます。それぞれサービス形態や関連する法律なども異なりますが、両者を混同しているケースが多く見受けられます。ここでは、両者の主な相違点を説明します。

サービス形態の違い

  • アウトソーシング:アウトソーシングの専門会社が受託した業務を遂行する
  • 人材派遣:派遣会社が人材を派遣し、その派遣スタッフが業務を行う

何によって対価が発生するかの違い

  • アウトソーシング:業務の遂行や成果物の納品によって対価が発生する
  • 人材派遣:人材を派遣し、その派遣スタッフが労働する事について対価が発生する

誰が業務指示を行うかの違い

  • アウトソーシング:アウトソーシングの専門会社が業務指示を行う
  • 人材派遣:派遣先企業(自社)の従業員が業務指示を行う

人材派遣とアウトソーシング(BPO)の違いについて詳細に知りたい方はこちらもご参照ください。

アウトソーシングのメリットとデメリット

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

アウトソーシングには、メリットとデメリットが存在します。

メリットとしては、業務品質の向上や人件費抑制による利益を生み出す組織づくりなどが挙げられます。一方でデメリットとしては、自社対応が困難になる懸念や、組織体制の頻繁な変更に対応しにくいこと、セキュリティリスクなどが考えられます。

ここでは、アウトソーシング会社に依頼するメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

アウトソーシング会社に依頼するメリット

業務の品質向上

アウトソーシングを活用することによって、業務の品質向上が期待できるでしょう。
アウトソーシングを請け負う企業の多くは、事務処理や経理など特定のジャンルに精通しています。そのため、社内リソースでは実現が難しいとされる品質の向上といった効果が期待できるでしょう。
また自社で人材を育成することが難しい場合や、即戦力を採用できないという状況にある場合も、アウトソーシング会社の利用がおすすめです。

人件費の抑制

自社の従業員が業務を行う場合のコストは、固定費である「人件費」として取り扱われます。一方で業務委託契約や業務請負契約を締結し、外部の企業が業務を行うアウトソーシングは、勘定科目では変動費の「外注費」として取り扱います。 アウトソーシングを活用すれば、固定費が抑制されるといえるでしょう。
また、アウトソーシングは繁閑の波に応じて人工の調整が図れるようになるのもメリットだと言えるでしょう。

より利益を生み出す組織作り

アウトソーシングを導入すれば、直接利益を生み出さないノンコア業務に対応していた自社のリソースを減らせます。
アウトソーシングの活用で、従業員のリソースを企業活動の根幹であるコア業務へ集中させることができれば、利益拡大に直結する営業活動やマーケティング、新商品開発や既存商品の改善などにより注力できるようになるでしょう。

アウトソーシング会社に依頼するデメリット

社内にノウハウが蓄積しにくくなる

自社の業務を、社外の人材が対応するアウトソーシングは、自社にノウハウが蓄積しにくくなる懸念があります。アウトソーシング化した業務を将来、再び自社で行う計画などがある場合には注意が必要です。

ただし、事前に内容を取り決めたうえでアウトソーシング会社から業務マニュアルを提供してもらうなどのリスクヘッジ策も考えられます。

セキュリティリスク

アウトソーシングする業務内容によっては、外部人材が自社の基幹システムや機密情報にアクセスする場合があり、その分セキュリティリスクが高まる可能性があるといえます。情報の取り扱いに対する教育指導を実施しており、セキュリティ対策が強固なアウトソーシング会社に依頼することが大切です。

アウトソーシングのメリット・デメリットについて詳細に知りたい方はこちらのコラムをご参照ください。

人材派遣のメリットとデメリット

続いて、人材派遣会社に依頼するメリットとデメリットについてご紹介します。

人材派遣会社に依頼するメリット

コストの削減

例えば季節によって商品展開や売上額の推移が大きいアパレル系の企業の場合、繁忙期は普段以上の人的リソースが必要となる場合もあるでしょう。そういった時に「数カ月間」などのピンポイントでも利用できる人材派遣が役立ちます。 さらに、自社の従業員で業務を遂行した場合より、人材派遣サービスを利用した方が賞与などの人件費コストが必要なくなるでしょう。

派遣社員個々のスキルを活かせる

人材派遣会社はそれぞれに得意な職種分野があるため、専門性の高い人材を抱える派遣会社へ、特定の業務に対応可能なスキルを持つ人材を探してもらうことなども可能です。

人材派遣会社に依頼するデメリット

業務内容や派遣期間に制限がある

人材派遣サービスでは、あらかじめ派遣会社と派遣先との間で「どのような業務を、いつまでの派遣期間で、どのような就業条件で対応する」といった内容を個別の契約書で取り決める必要があります。そのため、派遣社員に契約書に記載の無いイレギュラーへの対応などは依頼できないこともデメリットと言えます。

法制度が厳格化されつつある

2020年4月1日より労働者派遣法(以下、派遣法)が改正され、「同一労働同一賃金」と呼ばれる、正社員と非正規雇用労働者の待遇差を是正する仕組みづくりがなされています。
「雇い止め」と呼ばれる契約の終了や賃金格差などが従来から問題となっており、政府は働き方改革の推進とともに、同一労働同一賃金の実現のため派遣法の改正に踏み切ったとされています。派遣法改正によって従来のような派遣サービス活用が難しくなった企業も少なくないと考えられます。

アウトソーシングと人材派遣を選ぶポイント

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アウトソーシングと人材派遣のどちらを選ぶかについては、押さえておきたいポイントがあります。主なポイントとして、該当する業務において「定型業務であるか」「イレギュラー対応の発生頻度」「業務の開始時期に余裕があるか」などがあります。ここでは、それぞれのポイントについてご紹介します。

定型業務であるか

すでに決まった業務手順がある場合や、業務マニュアルなどが整備されている定型業務の場合は、専門性の高いアウトソーシング会社に任せるのがおすすめです。
業務手順や業務マニュアルをもとに、アウトソーシング会社がプロのノウハウを駆使して業務改善を図りながら効率良く対応していくため、自社従業員による細かな進捗チェックなどの負担なく適切に業務を進めてくれます。アウトソーシングは、コストパフォーマンスと業務品質向上の両方をかなえてくれるでしょう。

イレギュラー対応の発生頻度

頻繁にイレギュラー対応が発生したりするなど、突発的に臨機応変な対応が求められる業務の場合は、自社の従業員が派遣スタッフに直接、細かく業務指示を行える人材派遣が適しています。アウトソーシングでも臨機応変な対応は可能ですが、自社従業員がアウトソーシング会社のメンバー一人ひとりに直接指示を行うことは法律で認められていないため、即座に突発的な事態へ対応するのは難しい場合があるためです。

業務の開始時期に余裕があるか

外部会社が業務を開始するまでに、時間的な余裕がある場合はアウトソーシングを利用し、余裕がない場合は人材派遣を選ぶと良いでしょう。
アウトソーシングは、その業務をアウトソーシング会社が一括して巻き取り対応するため、どのような実施体制で行うかの検討や体制構築を行う時間が必要です。これにより、業務開始までの準備に何か月か必要となる場合もあります。人材派遣であれば自社従業員が直接指示を出せるため、比較的早めに業務を開始できるでしょう。

アウトソーシングに適した業務

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

一般的にアウトソーシングには、直接的には利益を生み出さないノンコア業務やルーチンワークで解決できる業務、内製すると経費がかかる業務などが適しているとされています。

これまでアウトソーシングされる業務は、いわゆる単純作業が大半でした。しかし、近年は専門知識やノウハウ、独自の効率的な業務処理手順を持ち、さまざまな領域の業務を請け負うアウトソーシングの専門会社が増えています。事業の根幹となる経営戦略の立案や、意思決定にまつわる業務には不向きですが、それ以外のノンコア業務を中心に、多くの業務を専門のアウトソーシング業者へ委託することが可能です。ここでは、その具体例を業務内容別に整理してご紹介します。

人事業務(労務管理・採用)

従業員の採用や労務管理に関する仕事には、雇用手続きなどルーチン化された定型業務もあります。そのため、専門性の高い企業へアウトソーシングすることで業務の質を保ちつつ、工数削減や効率化といった効果を見込むことも可能と言えます。

加えて、採用についてはRPO(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)という人材採用の一部を専門会社に委託するサービス形態も存在します。例えばエントリー者の書類選考や面接などのスケジュール調整、内定者のフォローといったタスクが該当し、それらを外部業者へ委託することで自社のメンバーは実際の人材選考により注力する体制を整えることができます。

経理業務・給与関連業務

月ごとの帳票関連業務や決算、給与の支払や、年次ごとに発生する年末調整といった経理業務や給与に関係する業務は、多くが定型的なタスクでありながら高い専門性を要します。そのため、限られた人材で円滑に処理を行うことが難しい場合もあります。 例えば経理部門の主力スタッフが突然何らかの理由で休職・退職することになった際には、「業務を代行できる人材が社内に存在しない」といったことも懸念されます。

各手続きや法制度に精通した専門会社へ委託することで、業務の属人化を防ぎつつ業務の遂行をより安定的に整えることが可能になります。

総合受付

「企業の顔」と言われる総合受付における、来訪者や代表電話の対応、会議室の予約管理など、来客エリア全体の運営をトータルに行う業務です。好感度の高い接遇とスムーズな応対は、来訪者だけでなく従業員満足度の向上につながり、企業のさらなるイメージアップに貢献します。

しかし、総合受付の運営を自社従業員のみで行う場合、例えば急な欠勤時の交代要員確保や、異動・退職時の引継ぎ・教育に、想像以上の手間とコストがかかるものです。 そこで総合受付をアウトソーシングすれば、交代要員などのバックアップ体制構築なども、すべてアウトソーシング会社にお任せできます。また、さまざまな業種の企業受付業務でつちかったノウハウによって、業務の効率化も期待できます。以上の観点から、総合受付の業務はアウトソーシングするメリットが大きいと言えます。

郵便物などの配送・受取(メール室業務)

企業では郵便物・宅配便・社内メールなど、日々膨大な数の郵送物が発生します。これらの荷受けと発送、仕分け、各部署への配布などの煩雑な作業を、一元管理し対応するのがメール室の業務です。

これらの作業は、自社従業員が本来業務の合間を縫って、対応することが一般的です。しかし、夏期休暇や年末年始など長期休暇の後に、膨大な量の郵送物がたまってしまい、従業員が本来優先して行うべき業務が、後回しになってしまうことが多くあります。

メール室業務をアウトソーシングすれば、毎日必ず発生し手間のかかるこれらの業務を削減でき、従業員を本来業務に集中させられます。さらに、現金と同等の扱いが必要とされる切手・印紙類を各部署で管理する手間と、不要なコストも削減が可能です。
また、郵送物に個人情報や機密情報が含まれるケースが多くあります。プロのアウトソーシング会社は、郵送物の授受管理もしっかりと対応するので、安心して重要書類の管理を任せるられます。セキュリティ確保の面からも、メール室業務はアウトソーシングに適していると言えます。

翻訳・通訳

企業のグローバル化が加速する中、さまざまなビジネスシーンにおいて、翻訳・通訳による多言語化が必要とされるケースが増加しています。
しかし、多くの企業においては、多言語化のニーズは日常的に発生するのではなく、例えば「企業ホームページやパンフレットの多言語化」、「外国人従業員向け説明資料の多言語化」など、臨時的に発生するケースが多いでしょう。
このような臨時に発生するニーズのために、自社で翻訳者や通訳者を、日常的に抱えるメリットはさまざまな面で低いと言えるでしょう。

そこで、翻訳・通訳をアウトソーシングすれば、内容や求めるレベルに応じた、翻訳者や通訳者の選定から内容のチェック、納品までを専門会社に任せられます。
また、アウトソーシング先を都度選ぶのではなく、ひとつの専門会社に継続して依頼することで、依頼元の企業における独特な言い回しや、専門用語をストックすることによる、作業時間やコストの削減を図れます。これらの理由から、翻訳・通訳はアウトソーシング化のメリットが大きいと言えます。

人材派遣に適した業務

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?メリット・デメリットや適した業務などをご紹介!

では、人材派遣に適した業務はどんな内容でしょうか。

販売・接客業務

実店舗を構えるタイプのビジネスでは、現場で販売・接客を行うスタッフの存在が不可欠です。しかし、事業内容や規模、繁忙期などのタイミングによっては自社のリソースのみですべてをまかなうことが難しい場合もあります。
そこで派遣会社を利用し、必要に応じて人的リソースの確保を一定期間行うことが多くあります。接客・販売業務の多くには対応マニュアルが整備されていることがほとんどのため、派遣社員が無理なく活躍できる条件も整っているケースが多いようです。

研究開発業務

研究職と言うと、メーカーなど各企業の従業員が従事するケースが一般的ですが、各分野に精通したスペシャリストを多く抱える派遣会社を活用する企業も存在します。基礎研究から商品開発、検査・実験といった自社に存在しない領域の人材が必要となる場合もあるため、一定のプロジェクトに合わせて都度派遣サービスを活用することも選択肢の一つです。

アウトソーシングの成功事例

アウトソーシングを実際に導入した企業では、どのような成果が見られたのでしょうか。ここでは、アウトソーシングの成功例をご紹介します。

P&G社

アメリカに拠点を構えるP&G社では、2003年に労務管理、給与計算といった従業員サービス関連業務をアウトソーシングしたとされています。10年間で約4億ドルにも及ぶアウトソーシング契約であったものの、最終的には人員削減・工数削減により契約金額に見合う大幅なコスト削減を果たしたとされています。

また同社ではITインフラ分野で大手ITベンダーともパートナーシップを結び、徹底的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を早期から推し進めています。

アウトソーシングを活用して、業務の効率化を目指そう

現代のビジネスにおいて、業務の効率化を図るには、アウトソーシングをいかにうまく活用するかが鍵とされています。自社従業員で対応する業務と、専門会社へ委託する業務を見極め、積極的にアウトソーシングを取り入れることがおすすめです。パソナ日本総務部においても、おもに総務部が対応するさまざまな業務に対応するBPOサービスを用意していますので、ぜひ一度ご相談ください。

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パソナ日本総務部のBPOソリューション

BPO(業務委託)で自社のコア業務に人材・資源を集中する

当社の強みは、「社会の問題点を解決する」というパソナの企業理念の下に培ってきた人材活用ノウハウと、総合電機メーカーであるパナソニックでの多種多様な業務経験をベースに、あらゆる業種業態のビジネスプロセスを分析し、ノンコア業務とコア業務を適切に振り分け、課題整理、業務設計、運用改善を実施します。そして、貴社がコアビジネスに人材・資源を集中できる環境を作ります。

知力と現場力が組み合わさった提案力

パソナ日本総務部が考えるBPO(業務委託)とは、一般的な「業務整理」だけではなく、企業の未来を実現するための「業務改善」を指します。時には、「業務改革」と呼べるような劇的な変化をもたらすこともあります。
そのために必要な人材が、設計を行うコンサルタントと、それを実現するプロジェクトマネージャーです。多面的な知識を有したコンサルタント陣が、経営陣へのヒアリングなどを通して現状を把握。綿密な分析を経て、それぞれのコア・ノンコア領域を整理し、BPOの設計を行っていきます。
その後、プロジェクトマネージャーが、コンサルタントの設計を実現すべく、業務の再現性などを考慮しながら、BPOを実現していきます。

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