総務アウトソーシング(総務代行)とは?外部委託可能な業務や料金相場を紹介
総務アウトソーシング(総務代行)とは?外部委託可能な業務や料金相場を紹介

企業の運営を支える「縁の下の力持ち」的ポジションといえば、社内のさまざまな業務を請け負う総務部門でしょう。
人材の管理や採用などを専門的に行う人事部門や、社内の金銭フローを統括する経理部門、法律に関する仕事を行う法務といった他のバックオフィスに比べ、より業務範囲が広いことが総務部門の特徴のひとつです。
業種・業態や組織規模によっては総務部門を構えていない場合や、人事・経理・事務などのタスクもまとめて総務で担っている場合もあるでしょう。
今回はそんな総務部門が担う業務をアウトソーシングするメリット・デメリットを確認しつつ、実際にアウトソースを進める上でのポイントや注意点についても説明します。
総務アウトソーシング・総務代行とは?
総務アウトソーシングとは、企業の総務部門が抱える多種多様な業務を外部業者へ委託することを指します。法務や経理、人事などとは異なり、さまざまなタスクを内容に応じて外部委託することになるため、企業によって外部委託する内容はさまざまです。
そのため、総務業務のアウトソーシングを考える上では「何が課題となり、どのような問題が生じているか」を確認した上で、委託化する業務を決める必要があります。
総務アウトソーシング・総務代行が必要な理由・背景
総務業務のアウトソーシングが必要である理由はさまざまですが、主な背景としては「人材不足」「コスト・工数の削減」「生産性向上」といった要素が重要視されていることが挙げられます。
日本における高齢化の進行や労働人口の減少は大きな問題となっており、 2022年の内閣府発表においても、高齢化率(全人口に対して65才以上が占める割合)が28.9%になったと示されています。
世界の中でも著しく高齢化が進んでいるとされる日本では、若年層や労働人口が大きく減少し、業界を問わず慢性的な人材不足に悩まされています。そのため生産性の向上や工数、コストの削減などが重要な経営課題とされており、「自社内のメンバーだけですべての業務を担う」といった従来のスタイルが成立しづらくなっているのです。
このような状況を改善するために求められているのが、自社内のメンバー以外でも対応が可能な定形業務のアウトソーシングです。
当然、企業経営において総務部門が欠かせないことは言うまでもありませんが、限られた人材の力を生かすためには総務部門などバックオフィスの定形業務を、専門業者の手に委ねることが必要になりつつあります。

アウトソーシングを利用したことがある担当者に「利用目的」を尋ねると、「業務効率化」が58.9%で最も多く、次いで「コスト削減」(46.8%)と続きました。
<引用>Adecco
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総務アウトソーシング・総務代行で依頼可能な業務とは?

総務アウトソーシングで依頼可能な業務は多岐にわたります。例えば、次のような業務が依頼可能です。
- 受付業務
- オフィス、建物の維持管理業務
- 備品発注、管理業務
- 社内問い合わせ対応業務
- メール室運営業務
- 文書管理
- 防災備品管理
- パソコン、業務用スマートフォンなど情報端末管理
- 社有車管理
- 契約書管理
- 社内・社外イベントの企画/運営
- 株主総会の運営業務
- 社宅管理
- 業者対応
これらの他にも、総務が管轄するさまざまな業務をアウトソーシングできる可能性があります。
総務業務は社内の環境維持にとって重要ですが、その内容はバラエティに富んでいます。同じ総務の仕事であっても、性質が異なる業務を限られたメンバーで同時に行うことは負担が大きいものです。
次章にて詳しくご紹介しますが、手間がかかる業務であるが、日々ルーティン的に行うような業務を中心に総務アウトソーシングを利用することで、社員の戦力をより集中したいコア業務に充てることが可能になります。
総務アウトソーシング・総務代行のメリット

では、総務部門の抱える業務をアウトソーシングすることで、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、アウトソーシングがもたらす3つのメリットについてご紹介します。
コア業務に集中できる
まず考えられるのが、ビジネスの展開と直接的に関わる「コア業務」へ社内の人的リソースを集中できるようになることです。
どのような企業にも主軸となるビジネスが存在します。これは、「事業ドメイン」などの用語で説明されるような事業活動の内容や領域、ターゲット範囲などを含むもので、業績を左右する重要度の高いコア業務です。それに対し、総務などバックオフィス部門が請け負うのは、主にコア業務を円滑に進めるためのサポートを行う「ノンコア業務」です。
総務アウトソーシングの導入でノンコア業務を外部に委託することで、従来ノンコア業務に対応していた社員の人的リソースをコア業務に集中させられます。つまりアウトソース化により、業績の向上やビジネスの拡大などが期待できると言えるでしょう。
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コスト削減につながる
コスト削減につながることも、総務アウトソーシングのメリットのひとつです。
総務アウトソーシングを利用すると、固定費としてかかっていた総務部門の社員人件費が、外部委託契約となるため変動費の扱いとなります。また業務の繁閑や会社移転、株主総会など大型プロジェクトの発生時期によって異なる業務量に合わせたコスト配分が可能になります。
総務アウトソーシングは、契約時にあらかじめ業務工数や人工などに応じた委託金額を定めたうえで業務を行います。繁忙期の残業時間や休日出勤などで変動しがちな人件費と比べて、年間の予算計画も組みやすくなるでしょう。
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業務のクオリティを底上げできる
さまざまな企業の総務業務を専門的に請け負った実績のある総務アウトソーシング会社であれば、社員が対応するよりも、業務のクオリティを底上げできるといったメリットも期待できるでしょう。
総務が担当する業務はとても幅広い上に、担当部門が明確でない業務の問合せなどが総務に入ることも多くあります。また通常業務に加えて、会社移転やレイアウト変更など大型プロジェクトへの対応も総務に求められることがあり、すべての総務業務に対して常に一定のクオリティを維持することは大変難しいものです。
そこで総務アウトソーシングを活用すれば、プロが総務業務のクオリティを維持しながら対応してくれるため、自社の従業員が新たな取組みやアイデアが求められる業務に集中できる環境を整えやすくなります。
業務が属人化しづらくなる
総務業務を外部に委託すると、特定の担当者だけが長年同じ仕事を抱え込む「属人化」のリスクを軽減できます。業務が属人化すると、退職や異動時に業務の引継ぎが難しくなり、ノウハウが失われる可能性が高まります。一方、総務アウトソーシングのメンバーは、予め決まった手順やマニュアルに沿って業務を行うためノウハウの共有が簡単になります。担当者の変更やトラブル発生時にもスムーズに対応できる体制が整うため、企業にとって安定した運営を支える重要なメリットとなります。
総務アウトソーシング・総務代行のデメリット

総務アウトソーシングにはコスト面でもクオリティ面でも大きなメリットがありますが、一方で以下のような懸念点があることも事実です。
ノウハウが社内に蓄積されにくくなる
まず大きな懸念点とされるのが、業務のプロセスや実務の処理に関するノウハウが社内に蓄積されにくくなることです。
外部委託によってそれまで内製で進めていたタスクが社内から離れるため、一度アウトソーシングを進めると再び内製化を行う時にノウハウや知識の不足に悩まされる場合もあるでしょう。
セキュリティ面でのリスクが考えられる
情報漏洩やサイバー攻撃といったセキュリティ上のリスクを抱えることも懸念されます。もちろん、多くのアウトソーシング先では高水準の情報セキュリティ体制を整えているものの、やはり社外に業務に関する情報を共有すること自体に相応のリスクが内在すると言えるでしょう。
ほかにも、イレギュラーな処理の依頼など柔軟性が求められる場面との親和性の低さや、新たに外部企業との契約することになるため金銭面での大幅なコスト削減効果は見込みにくい、といった事柄が想定されます。
とはいえ、そもそも総務業務のアウトソーシングはコスト削減だけを目指して導入されるものではなく、むしろ人的コストや業務の管理工数といった全体的な問題を改善するために非常に効果的です。むしろ社内ですべての業務を担うこと自体にさまざまなデメリットがあるため、結果的に委託化のメリットの方が上回ると考えられます。
コミュニケーションコストが増加する場合がある
総務業務は、社内のさまざまな部署や従業員、さらには取引先との連携がとても重要です。アウトソーシング先が増えると、その分だけ連絡調整やフィードバックに要する時間や手間が増大する可能性があります。特に緊急時やイレギュラー対応が必要なときに、社内担当者とアウトソーシング先の間で情報伝達がスムーズでないと、余計なトラブルや混乱が生じるリスクも考えられます。
サービス品質のコントロールが必要
アウトソーシング先によっては、対応スピードやクオリティにばらつきがある場合があります。契約前にコミュニケーションを十分に行い、業務対応レベルを明確にすることが重要です。そうでないと、「想定以上に作業に時間がかかる」「社内基準に合わない対応が続く」といった誤算が生じる可能性があります。サービス品質を確保するために、明確な評価指標やコントロールの仕組みを設け、定期的に進捗や課題をアウトソーシング先と共有することが重要です。
総務アウトソーシング・総務代行のポイント・注意点

続いて、総務アウトソーシングを実際に進める際のポイントや注意点についてご紹介します。
導入検討時
総務アウトソーシングや総務代行を導入する際には、業務の切り出し方やアウトソーシング先選定の基準を明確にすることが大切です。事前に検討すべきポイントを以下で詳しく解説します。
アウトソーシングする業務範囲の見極め
まずは自社が抱える総務業務をリストアップし、その業務の重要度や難易度、社内リソースの状況などを考慮して「外部委託が適している業務」と「社内で行うべき業務」を切り分けましょう。定型的な事務作業は外部委託することで社内リソースを有効活用し、法令順守など専門性が必要な業務は専門家に委託することで業務効率化を図ることができます。
アウトソーシング先の比較検討と契約内容の確認
アウトソーシング先を選ぶ際には、実績や専門分野、セキュリティ体制などを総合的に比較検討することが重要です。契約段階では、成果物や品質保証に関する条件を明確に定義しておくことも大切です。
導入コストと効果のバランスを検討する
外部委託には費用がかかる一方で、人件費や残業代などの社内コストの削減につながる場合があります。実際の費用対効果を把握するために、導入前後でどのくらいのコストや工数が発生するのかを試算し、投資に見合ったメリットが得られるかをシミュレーションすることが重要です。
運用時
運用を開始した後は、アウトソーシング先との連携や社内への情報共有が円滑に行われるように、適切な管理体制を整える必要があります。以下に、運用時に押さえるべき主なポイントを紹介します。
スムーズなコミュニケーション体制を構築する
アウトソーシング先とのやり取りが増えると、情報伝達が滞ることがトラブルの原因となります。このようなリスクを回避するために、連絡窓口を統一し、定期的なミーティングや報告ルールを設けることが重要です。また、オンラインツールなどを活用して迅速なコミュニケーションができる環境を整えることも効果的です。
定期的なモニタリングと評価の実施
外部委託の効果を最大化するためには、定期的に業務の進捗や品質を評価することが重要です。KPI(重要業績評価指標)や作業報告書を活用して、コスト削減や業務効率の向上が計画通りに進んでいるかをモニタリングしましょう。もし問題が発生した場合は、アウトソーシング先と協力して原因を特定し、迅速に対策を講じることが重要です。
緊急時の対応と社内ノウハウの維持
イレギュラー対応やセキュリティ事故が発生した際には、社内とアウトソーシング先がどのように対応するかを明確にしておくことが重要です。また、外部依存が進むと社内でのノウハウが失われるリスクもありますので、最低限のマニュアルや社内教育を行い、担当者が変わっても運用がスムーズに継続できる体制を整えることが必要です。
総務アウトソーシング・総務代行の相場料金
総務アウトソーシングの相場料金は、その内容によってさまざまです。一般的には、委託する総務業務の内容や対応手順、発生頻度や処理に要する時間などを事前に調査し、アウトソーシング会社の対応範囲を明確にしたうえで個別に見積もりし費用を算出することになります。また業務内容だけではなく、総務アウトソーシング会社が対応する時間帯などの条件や難易度によっても、大きく料金が異なる可能性もあります。まずは総務アウトソーシング会社に相談することをおすすめします。
総務アウトソーシング・総務代行の導入事例
カールツァイス株式会社
ドイツに本社を置く光学機器メーカーのカールツァイス株式会社では、総務責任者が急退職し、総務未経験の担当者が多岐にわたる業務と社内相談を一手に担うことに。十分な対応が難しい状況が生まれ、早急な解決策が求められていました。
そこでパソナ日本総務部のBPOサービスを導入し、社宅・社用車・備品管理など幅広い総務業務をアウトソーシング。同時に、BPOメンバーとの連携を強化し、社内行事への参加を促すなど円滑なコミュニケーション体制を整えました。
その結果、教育コストや人件費を削減しつつ、業務効率化と迅速な問題解決を実現。経理支援やオフィス改装など多岐にわたる課題にも柔軟に対応できるようになりました。今後は全国拠点への展開によるさらなるコスト削減も期待されています。
JX金属株式会社
非鉄金属メーカーのJX金属株式会社では、部署ごとに総務担当者が配置され、部署ごとの状況に応じて総務業務を行われていました。このため総務業務が社内全体で統一されていないという課題がありました。
その課題を解決するため、オフィス移転を機に、パソナ日本総務部のBPOサービスを導入しました。総務コンシェルジュを設置することで、各部署からの要望を一手に引き受け、従業員への総務サービスを均一化しました。
その結果、業務効率化を達成すると同時に、アウトソーシングによって生まれた時間をより戦略的な業務や新たな仕組みの構築、他部署との横連携などに充てることができ、従業員のモチベーション向上にもつながっています。
まとめ

人手不足や業務効率化の推進といった問題を受けて、総務アウトソーシングの重要性が認知されつつあります。派遣会社の利用などによってリソース不足などの問題を解消する方法もありますが、その場合でも従業員による指揮命令や、急な欠勤時には従業員がバックアップをせざるを得ないなどの問題は生じるでしょう。
特に工数削減や人的リソースの有効活用といった見地から考えると、外部委託がより有効に働くことが十分に考えられます。この機会に適切に業務の切り出しを行い、円滑なビジネスの展開を目指してはいかがでしょうか。
パソナ日本総務部では総務アウトソーシングを始めとした、総務におけるさまざまな課題に寄り添う個別のサービスなど、幅広いお悩みに合わせた解決方法をご提案いたします。
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その後、プロジェクトマネージャーが、コンサルタントの設計を実現すべく、業務の再現性などを考慮しながら、BPOを実現していきます。