SEMINAR セミナー

2024.1.25

Webセミナー「ウェルビーイングのカギは植物にあり!
株式会社パソナ日本総務部・トヨタが研究する“ヒトをGenkiにする空間”とは」

Webセミナー「ウェルビーイングのカギは植物にあり!株式会社パソナ日本総務部・トヨタが研究する“ヒトをGenkiにする空間”とは」開催レポート

株式会社パソナ日本総務部(以下、当社)は2024年1月25日に、トヨタ自動車株式会社 未来創生センター及び株式会社豊田中央研究所の研究者をお招きし、Webセミナー『ウェルビーイングのカギは植物にあり!株式会社パソナ日本総務部・トヨタが研究する“ヒトをGenkiにする空間”とは』を開催しました。

本セミナーは3部構成で、第1部はトヨタ自動車 未来創生センター 伊藤正和氏・豊田中央研究所 池内暁紀氏より「葉っぱだらけの空間で『気持ちよさ』を研究 ~ウェルビーイングを目指したGenki空間研究のご紹介~」講演、第2部は当社 代表取締役副社長 岩月隆一より「自然を取り入れたワークプレイス~バイオフィリックデザインの効果と実践方法~」講演、第3部は3者によるパネルディスカッションを行いました。

第1部:講演サマリー
「葉っぱだらけの空間で『気持ちよさ』を研究 ~ウェルビーイングを目指したGenki空間研究のご紹介~」
トヨタ自動車株式会社 未来創生センター R-フロンティア部バイオ研究領域 領域長 伊藤正和氏
株式会社豊田中央研究所 バイオインスパイアードシステム研究領域 主任研究員 池内暁紀氏

伊藤氏
■未来創生センターについて

トヨタ自動車の中でも、自動車にこだわらず様々な研究開発を推進していく先端研究部署です。今50くらいのテーマが動いていますが、最終的には当社の企業理念である「幸せの量産」に向かって研究を進めています。

■Genki空間プロジェクトとは
未来創生センター内には、室内に自然を切り取ったような空間・通称「Genki-tron」という施設があり、そこに入った時、ヒトにどんな生理現象が起きるかを実験・モニタリングしています。自然には人に良い様々な効果があると言われていますが、自然に含まれる“何が”、“どのように”作用して人を「Genki」にするのかを科学的に解明し、空間設計論・空間制御技術を構築することを目指しています。現在は大きく2つ、バイオフィリックデザインの指標化と、空気質の見える化を進めていますが、将来的には、住む人が幸せでいられる未来の街づくりの実現を目指して取り組んでいます。

池内氏
■バイオフィリックデザイン×視覚情報

私たちの研究では、「植物全体の印象と、葉の形状の印象が相関している」、つまり葉っぱの形が、植物全体の印象に重要であるということがわかってきました。そこで様々な葉の物理的な特徴を画像解析によって数値化し、植物空間デザイナーの主観評価との関連を調べたところ、「癒されると感じる」植物群は「小さくて丸い葉」を、「集中力がアップする」と感じる植物群は「細くて長い葉」を持つ傾向があることなどが分かりました。
そこで今度は葉の形状ごとにエリアを分けたオフィス空間「Genki-office」を作り、感情尺度のアンケートをとった結果、植物分類マップの印象が空間デザインの印象に一致しました。これは植物分類マップの印象を空間デザインにも適用できるということを意味しています。
また、疲労を伴うタスク後、植物のある空間で休憩した時の脳血流を調べたところ、疲労感(脳血流の左右差)が減少することがわかり、気持ちだけではなく身体も反応していることが明らかになりました。

■バイオフィリックデザイン×心理学
心理学の観点から、自然が持つ心理的回復効果を調べた研究はいくつかあるのですが、私たちはその中でも、注意回復理論に着目して研究しています。意図的注意(意識して集中している状態・作業)は疲労につながり、自動的注意(意識せずにぼーっと見とれる状態)は疲労が回復するという理論で、すなわち自動的注意を促す要素が多い環境は回復環境であるということになります。この“自動的注意を促す要素”を回復特性というのですが、私たちが普段何気なく見ている自然景観は、実は回復特性が豊富に含まれているのです。
私たちはこの注意回復理論を室内環境の評価尺度に使えないかと考えました。「Genki-office」における回復特性の調査から、注意回復理論をベースとした空間評価技術により、バイオフィリックデザインは回復特性が高いこと、またオフィス作業ごとに最適な回復特性のバランスがあることがわかってきました。このデザインに加え、空気質や微生物といった刺激を組み合わせた空間研究を進めていきたいと考えています。

第2部:講演サマリー
「自然を取り入れたワークプレイス~バイオフィリックデザインの効果と実践方法~ 」
株式会社パソナ日本総務部 代表取締役副社長 岩月隆一

当社の「COMORE BIZ(コモレビズ)」では「ワークプレースをライトプレース(自然環境)へ」をブランドメッセージに掲げ、五感を刺激するような総合的なバイオフィリックデザイン空間を提案しています。コモレビズ最大の特長はエビデンスに基づいて設計している点で、さまざまな研究パートナーとともに、エビデンスの深化に取り組んでいます。 トヨタ自動車・豊田中央研究所とは2019年から3つのテーマで共同研究を行っており、先ほど池内さんからお話しいただいた「葉の形状マップ(植物分類システムおよび植物選定システム)」は共同で特許出願中です。昨年11月には日本感性工学会大会で「バイオフィリア空間の緑量と回復特性およびさ業種別の関係」を連名で発表をいたしました。
今後も共同研究を継続し、エビデンス化することで、ウェルビーイングな空間を提供し、健康経営に貢献していきたいと考えています。

※本レポートに記載の情報は、セミナー開催時(2024年1月)のものです。

【セミナーアーカイブ】2024年1月25日開催
「ウェルビーイングのカギは植物にあり!株式会社パソナ日本総務部・トヨタが研究する“ヒトをGenkiにする空間”とは」


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