SEMINAR セミナー

2019.9.17

「疲労の見える化とバイオフィリック空間」
~一歩先行く健康経営への取り組みとは!?~ 開催レポート

「疲労の見える化とバイオフィリック空間」~一歩先行く健康経営への取り組みとは!?~ 開催レポート

株式会社パソナ日本総務部(以下、当社)は2019年8月28日に、オフィス革新セミナー2019「『疲労の見える化とバイオフィリック空間』 ~一歩先行く健康経営への取り組みとは!?~」を開催しました。
本セミナーは3部構成で開催され、第1部は、株式会社疲労科学研究所 倉恒邦比古氏より「疲労の見える化と健康経営について」、第2部は当社代表取締役副社長の岩月隆一より「世界の潮流、バイオフィリックデザインオフィス『コモレビズ』について」と題して講演を行いました。そして第3部では、特別ゲストとして当社と共同研究を行っている、トヨタ自動車株式会社の大音徳氏を招き「“植物と共生する空間が人間にもたらす効果”に関する研究について」として、当社岩月とのトークセッションを行いました。

第1部
講演「疲労の見える化と健康経営について」サマリー:
株式会社疲労科学研究所 代表取締役 倉恒 邦比古 氏


疲労は、病気になることを未然に防ぐために、痛み、発熱、疲労感などによって身体から発せられるアラート信号です。しかし、仕事や活動に熱中していると、なかなかそれらを自覚することが難しいこともあります。健康経営が求められる今、これらを客観的に測定し、従業員の疲労の状況を正しく理解しておくことは大切なことだといえるでしょう。

疲労を計測するための機器は、技術の進歩によって精度が向上し、指先の脈波などからも正確に計測できるようになりました。その中で、計測による被験者の負担を更におさえ、測定していることを意識しない状態で長時間の測定ができないかと考え、パナソニック株式会社の協力を得て、パソコンの内蔵カメラで顔の肌色変化を読み取ることで計測する、非接触バイタルセンシングを実現させることができました。この技術によって、普段と同じように仕事をしている状態のデータを蓄積することができます。
コモレビズでは、この非接触バイタルセンシングで従業員の疲労度を計測し、その結果のレポートをご提供します。時間による疲労度の推移や、曜日ごと、前週との比較などもできるため、データを元に業務の最適化を図ることが可能です。この技術は企業が健康経営を行うにあたって、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮しやすい環境をつくることに大きく貢献するでしょう。

質疑応答では「非接触バイタルセンシングでは疲労の度合いがどのようにわかるのか。またレポートはどのような内容か」「非接触バイタルセンシングで得られた従業員のデータで、どのような対策を打つのがよいか」などの質問が行われ、疲労の見える化による健康経営実現への関心の高さが伺えました。

第2部
講演 「世界の潮流、バイオフィリックデザインオフィス『コモレビズ』について」
サマリー:
株式会社パソナ日本総務部 代表取締役副社長 岩月 隆一

近年、働き方改革に注力する企業が増え、「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉も注目されるようになり、単に病気ではないという身体面の健康だけではなく、精神的、社会的な健康についても重視されるようになっています。そのなかでコモレビズは、ワークプレース(職場環境)そのものを、人間にとってストレスの少ないライトプレース(人間に最適な自然環境)に近づける空間改革をすることが重要であると考えています。

1984年にアメリカの生物学者エドワード.O.ウィルソン氏は、「人間には自然とつながりたい、という本能的欲求がある」というバイオフィリア理論を提唱しました。原始時代から現代までの長い間、人類はその大半を自然の中で暮らしてきました。この歴史が、植物や生物へ本能的に抱く愛情を、私たちのDNAに刻んでいるのです。バイオフィリアの概念を取り入れた「バイオフィリックデザインオフィス」では、従業員の幸福度、創造力、生産性が上がることが報告されています。今ではAmazonやGoogleといった大企業が、オフィスの中に植物を取り入れることでバイオフィリックデザインを実践するなど、屋内緑化の動きが国内外で盛り上がっています。オフィス作りにおいて、バイオフィリックデザインの実践が当たり前になる時代は、すぐそこに迫っているでしょう。

「疲労の見える化とバイオフィリック空間」~一歩先行く健康経営への取り組みとは!?~ 開催レポート

第3部
トークセッション 「“植物と共生する空間が人間にもたらす効果”に関する研究について」
特別ゲスト トヨタ自動車株式会社 未来創生センター T-フロンティア部
センター基盤研究室 第1基盤研究グループ長 大音 徳 氏

車の自動運転や IoT 技術が進化する中で、トヨタ自動車は人々の移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティ・カンパニー」になることを目指しています。人間にとって最適な移動空間を追求するにあたり、植物によってウェルビーイングを実現する空間作りの先駆者であるコモレビズに、一緒に研究ができないかお声掛けをさせていただきました。

バイオフィリックな空間が人間にもたらす効果を測定できれば、オフィスワーカーだけではなく、モビリティ・カンパニーが関わる多様な方々にとってのウェルビーイングに貢献する結果が得られると考えています。今回の共同研究で得られた研究結果は、車という軸だけにとらわれず、モビリティーに関連するさまざまな空間への活用も模索していきたいと考えています。コモレビズが持つノウハウとのシナジーによって、新しい価値創造の基盤技術を確立できることを期待しています。


【講師紹介】

倉恒 邦比古氏
株式会社疲労科学研究所 代表取締役
疲労は脳機能の疲れによるパフォーマンスの低下と位置付けられており、適切な休憩や十分な睡眠によって防止できるとされている。疲労を招く生活習慣を見直すツールとして、「疲労の見える化」を実現し、健康経営への寄与を目指す。

株式会社疲労科学研究所

大音 徳氏
トヨタ自動車株式会社 未来創生センター T-フロンティア部
センター基盤研究室 第1基盤研究グループ長
トヨタ自動車は、従来の自動車以外の新しい価値創造のため、将来ますます重要性が高まると予想される“Well-being(人が心身ともに健康に過ごせる状態)”を重視した空間作りにおいて、バイオフィリックデザインが重要な役割を果たすと考え、パソナ日本総務部と共同研究を開始し「人間と植物の共生する空間がもたらす効果」の科学的な解明を目指す。


関連するニュース

【プレスリリース】パソナ日本総務部、トヨタ自動車と"植物と共生する空間が人間にもたらす効果"に関する共同研究を開始―
より高度な科学的検証に基づく「コモレビズ2.0」への進化を目指す ―(PDF)

COMORE BIZ(コモレビズ) RESEARCH AND DEVELPOMENT 研究開発


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