vol.10
三菱地所レジデンス株式会社/
ザ・パークレックス 天王洲 [the DOCK]
今回COMORE BIZ(コモレビズ)が導入されたのは、東京・天王洲エリアの運河沿いに誕生した、コワーキングスペース「ザ・パークレックス 天王洲[the DOCK](以下、[the DOCK])」です。コモレビズが持つストレス軽減効果のあるバイオフィリックデザインのノウハウと、映像や音響といったパナソニックの最新技術を組み合わせることで、これまでにない創造的な働き方をサポートする空間を作り出しています。
今回はコモレビズの導入をご担当いただいた、三菱地所レジデンス株式会社Reビル事業部の酒井勇生氏、内田圭輔氏、笛木海紗氏にお話を伺いました。
コワーキングスペース[the DOCK]について概要を教えてください。
酒井氏 2019年6月にオープンした[the DOCK]は、運河沿いという開放感あふれるロケーションの中で、働くことをもっと快適に、もっと創造的に、を実現できるコワーキングスペースです。コモレビズによる植栽と、パナソニックの照明・音響の最新技術を採用したオフィス、いつでも利用できる仮眠ルームや、共用部のTSUTAYA監修ライブラリ「ブック・パーク」など、快適さの追求とともに創造的な働き方をサポートする空間になっています。
また、”地域とつながる、ひらかれたオフィス”を目指し、働く人だけでなく、天王洲に暮らす方にもご参加いただけるオープンなイベントやワークショップも開催していく予定です。
もともとこの施設は、パナソニックのショールームとして利用されていましたが、当社のリノベーション事業の中でも初の取組みとして、コワーキングスペースとして生まれ変わりを遂げました。
酒井勇生 氏
Reビル事業部 PM推進グループ
マーケティングフェロー
[the DOCK]にコモレビズを採用した背景を教えてください。
酒井氏
まず本プロジェクトの初期段階で、競合となりうるシェアオフィスやコワーキングスペースを徹底的に調べ上げました。また市場規模、市場動向、さらにはユーザーが真に求めているニーズは何かの調査など、マーケティング準備も入念に行いました。
さまざまな調査を進める中、[the DOCK]の最寄り駅である天王洲アイル駅や北品川駅から、徒歩9分という立地の壁にぶつかりました。私たちは不動産業を営んでいるため、日常的に使っていただく立地として「徒歩9分」の壁の大きさは痛感しています。あえてお客様に来ていただくためには、その壁を乗り越える「変えがたい体験」を提供するしかない、という考えにいたりました。
そこで、その壁を乗り越える「体験」を実現するためのコンセプトを策定しました。例えばワークスペースには<生産性が向上できること><集中できる空間であること><創造的な活動ができること>などを挙げ、イノベーティブを志向する考えで<コミュニケーションの活性化>や<人や情報との出会い><感性が磨かれる刺激>などもコンセプトの案として挙げました。
そして想定する利用者のイメージを、私たちは「クリエイティブシンカー」と呼び、最終的に[the DOCK]のコンセプトを「人と仕事と感性が集う創造的なリノベーション・オフィス」としました。
このコンセプトを実現するための空間要素を検討する中で、数えきれないアイデアや最新技術が候補にあがりました。コンセプトに基づいて取捨選択の議論を行う中で、私たちは「緑」を中心とした自然環境の要素を軸に設計する「バイオフィリックデザイン」というアプローチを知りました。それがコモレビズを知ったきっかけです。さらにコモレビズが、バイオフィリックデザインを科学的に検証していることにも興味を持ち、最初から最後まで、”これだけは守ろう”との思いに至り、検討を続けました。快適性を追求するオフィス環境として良いコンセプトになり得ると考え、パナソニックの空調、照明等の最新オフィス環境技術とともに採用を決めました。このほか創造的なオフィスのコンセプトとしてTSUTAYA監修のライブラリーも設置します。
[the DOCK]を作るなかで、コモレビズを導入するにあたりこだわった点を教えてください。
笛木氏 私たちが、[the DOCK]にコモレビズを導入するにあたり、特にこだわった点は大きく3つあります。
1.空間デザインとしてのこだわり
[the DOCK]は運河沿いに立地しています。この特徴的なロケーションを最大限に生かすために、運河の水の流れと室内空間が一体化するようなデザインにこだわりました。
具体的には、窓越しに見える運河(借景)の水の流れが、植物の間を縫うようにして、室内へと続くイメージをデザインした特別な形のデスクを設置しています。また、そのデスクの先端に実際に水が循環する装置を設置し、その水面には、水の波紋や魚影などの高精度な映像を映し出す仕掛けにしています。
さらに、ハイレゾ音源によって再現した、鳥のさえずりや水の流れなどの自然環境の音を、最先端の空間音響設計技術により実現しています。これらの細部までこだわった空間デザインは、現時点におけるバイオフィリックデザインの最新版であると自負しています。
2.科学的エビデンスへのこだわり
バイオフィリックデザインのコモレビズを導入するにあたり、[the DOCK]では科学的エビデンスの必要性にもこだわりました。
例えば、全席がフリー席の「キャナル・キャビン」区画では、コモレビズが推奨する緑視率(※)を、24席すべてで実現しています。1席1席すべて、理論値としての緑視率を担保できるように植栽配置をデザインし、かつ納品後にも緑視率を測定し、実際に緑視率が担保できているか、を検証しました。これにより、ストレス軽減効果が期待できる空間に仕上げています。
また、コモレビズが持つ「最適な緑視率とハイレゾ音源の組合せは、それぞれが相乗効果を発揮し、更なるストレス軽減効果を生み出す」という科学的エビデンスにもこだわりました。漠然と、緑と自然の音は相性が良いと思っていましたが、それを科学的なエビデンスに基づき、設計ができるということは大きな驚きでした。
空間にデザインされた植物は、コモレビズが保有している植物データベースから選定していただいています。
(※)緑視率:建築学会による、「人の視界に占める緑の割合で、緑の多さを表す指標」という定義。コモレビズでは研究結果に基づき、ストレス軽減効果のある緑視率の最適値は10~15%だとしている。
3.本プロジェクトならではのこだわり
[the DOCK]は、「TENNOZ Rim」(※)プロジェクトの一環でもあります。私たちの先進的なリノベーション事業のノウハウと、パナソニック株式会社の最新テクノロジーとの融合、連携をデザインに生かしたことも大きくこだわった点です。
具体的には、[the DOCK]の隣に「次世代オフィスラボ Panasonic Office Research Tech [PORT]」が構えており、そこでIoTによるセンシング技術、データ分析技術、空気質・光・音・映像の制御技術とコモレビズのデータ検証を行うことで、常に最先端にアップデートしていくことを可能にしています。
(※)TENNOZ Rim:パナソニック株式会社が保有する遊休施設を活用した、パナソニック及びパートナー企業との共創による地域活性化プロジェクト
https://www.tennoz-rim.tokyo/
笛木海紗
Reビルグループ 兼
PM推進グループ
実際にコモレビズを導入されてからの印象はいかがですか?
内田氏 室内に観葉植物を置いたような印象とは異なり、まるで森林にいるような自然の環境に近いワークスペースとなり、自然の景色がリアリティをもって、オフィスに取り込まれた印象がありました。
オープン以来、実際にご利用いただいたお客様からも大変好評で、「緑があふれ、水や光、鳥の音などの自然を感じるワークスペースで気に入っており、ここで働くのが楽しい」「周りがあまり気にならず、とても集中できる」といった声が寄せられています。
内田佳輔
Reビルグループ 兼
PM推進グループ リーダー
コモレビズや[the DOCK]に関して、今後更なる発展に関するアイデアなどはありますか?
内田氏 例えば植物を、季節に合わせて花が咲くなどの変化を楽しめるものに変えることで、面白みが増し、更に愛着が沸くのではないかと思います。コワーキングスペースは一般的なオフィスと違い、ユーザーの帰属意識が少ないからこそ、この空間が自分にとって居心地が良いと感じるかどうかが重要だと思います。コワーキングスペースではあるけれど、愛着が湧き“自分の空間”のように感じていただくことが理想だと考えています。[the DOCK]を利用いただく皆様からの声も取り入れて、今後も様々な工夫ができればと思います。
また他にも、LPS(屋内位置情報サービス)やGrid-EYE(3D空間温度分布測定)などのパナソニック最新技術を取り入れていますので、それら位置情報と席の利用率などの関連性のデータが取れると良いかもしれません。緑視率が同じであっても、どの席が使いやすいのかという検証ができると、さらに可能性が広がると思いました。
※本事例に記載の情報は初掲載時(2019年6月)のものです。
名 称:三菱地所レジデンス株式会社/ザ・パークレックス 天王洲 [the DOCK]
導入先住所:〒140-0002 東京都品川区東品川1 丁目3-15
※複合施設「TENNOZ Rim」内に立地
ホームページ:
https://www.mecsumai.com/thedock/