業務を見える化するメリットとは?事例や方法まで徹底解説
業務を見える化するメリットとは?事例や方法まで徹底解説
業務の見える化は、生産性の向上や部署間の連携強化、問題の早期発見など、現場のさまざまな課題を解決する上で効果的です。現状調査やマニュアル整備、業務を見える化するツールの導入によって、従業員の業務負担軽減や業務品質の標準化にもつながります。 今回は、業務の見える化を行うメリットや具体的な事例、方法までをご紹介します。
業務の見える化とは
業務の見える化とは、組織内で取り組んでいる業務の内容を明らかにして、担当者以外の従業員からでも把握できる状態にすることです。
業務が見える化できていないと、その業務の進め方や進捗状況が担当者しか把握できていない、いわゆる業務の属人化が進行します。属人化が進行した現場では担当者以外の従業員が業務を処理することは難しく、担当者の不在時に対応が遅れることで顧客満足度の低下を招く可能性があるでしょう。
加えて担当者の業務負担が増大することで、長時間労働などさまざまな弊害を生む恐れもあります。
そこで業務の見える化は、現場における属人化の解消や生産性の向上など、さまざまな課題を解決する上で必要不可欠だと考えられます。
業務を見える化するメリット
業務を見える化することで、生産性の向上や部署間のスムーズな連携につながります。さらに、組織に潜む問題の早期発見や業務品質の標準化、人事評価の公正化にも業務の見える化が役立ちます。
ここでは、業務を見える化する5つのメリットについてご紹介しましょう。
生産性の向上につながる
組織全体の業務を見える化することで業務の再分配やプロセスの効率化が可能になり、生産性の向上につながります。
たとえば日ごろ同じ手順で処理している業務でも、見える化を行い現状把握することで他の業務と統合できる部分や、さらに効率的な手順を発見できる場合があります。
このような「気づき」を得るためにも、一度立ち止まって業務の見える化による現状把握をすることが大切です。
部署間での連携が取りやすくなる
業務の見える化によって、部署間での連携が取りやすくなる効果も期待できます。
業務を見える化すると、これまでそれぞれの部署で処理してきた業務に共通点が見つかり、双方のノウハウを共有できる可能性があります。さらに共通のデータを参照して業務にあたることができ、特定の業務における組織間の連携が容易になります。
問題を早期発見できる
業務を見える化することで、問題の早期発見にもつながります。
組織内の業務が可視化されていない現場では、従業員が問題を抱えていても上司やマネージャーがその問題をすぐに察知するのが難しく、初動対応が遅れてしまいがちです。
そこで「組織内で具体的に、どのような業務が行われているのか」を明らかにしておけば、上司やマネージャーが従業員の状況を把握しやすくなり、問題が小さいうちに対処できる可能性が高くなります。
業務の質を一定水準にできる
業務の質を一定水準にできることも、業務の見える化を行うメリットのひとつです。
業務が見える化されていないと、担当者が非効率なプロセスで業務を処理していたとしても周囲が気づくことは難しいでしょう。そのため、いつまで経っても非効率なやり方が改善されないという状況に陥ります。
業務を見える化できれば上司やマネージャーが担当者の業務状況を把握しやすくなり、指導やアドバイスによる業務改善がしやすくなります。
これによって従業員一人ひとりの業務品質の底上げが可能になり、業務の質を一定水準にすることができ、さらには業務品質の底上げも期待できるでしょう。
人事評価が公正化する
業務を見える化することで、各従業員がどの程度の難易度の業務を、どれくらいの量担当し、どのような成果を出しているのかを明らかにできるため、人事評価の公正化につながります。
これらが不透明な状況が続けば業務の難易度や量を把握しきれず、より多くの成果を上げている従業員が正しく評価されない恐れがあります。業務量や難易度に対して人事評価が適切に行われなければ、従業員の不満は蓄積してしまうでしょう。
業務を見える化するデメリット
業務の見える化には多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。ここでは、代表的な2つのデメリットを紹介します。
目的を見失ってしまう
業務の見える化を目指すあまり、非常に細かなタスクの記録やマニュアル化にばかり注力しすぎると、業務の見える化を行うことそのものが目的となってしまい、本質的な目的を見失う可能性があります。
業務の見える化を行う目的は、業務内容を明らかにした上で、業務の標準化や従業員の業務負担軽減、作業効率の向上をはかり、業務品質を一定に保つことです。作業の内容を明らかにすることも大切ですが、それだけが目的ではないため、業務の見える化を行う際は本質的な目的を意識しながら取り組むことが大切です。
現場の柔軟性がなくなってしまう
業務の見える化によって、業務品質の標準化や業務効率の向上などのメリットがもたらされますが、現場の柔軟性が失われる可能性には注意が必要です。
業務を見える化してマニュアル整備を徹底し、現場のルールを厳格に定めてしまうと、それが従業員の行動を制限することにもつながります。例えば、業務品質向上のため従業員が新たなアイデアを出しても「ルールで決まっているから」とされ、業務改善の可能性が失われてしまうことも考えられます。
前向きな臨機応変さや柔軟な発想が失われないように、マニュアルに縛られすぎない現場運用も重要です。
業務を見える化するための3つの方法
業務を見える化するための具体的な方法として、次の3つが考えられます。これから業務の見える化に取り組む場合は、ぜひ参考にしてください。
1.現在の業務を調査・分析する
業務を見える化するためには、現在の業務を調査・分析する方法が有効です。具体的には組織内でどのような業務が行われているのかをリストアップし、業務内容や手順、担当者などを明らかにします。
正確に把握するためには大まかな業務名だけでなく、具体的な手順や所要時間、公平な観点による難易度なども洗い出すことをおすすめします。
しかし、通常業務を行いながら業務調査を行うのは大きな負担が生じるものです。
パソナ日本総務部では、そんなお客様の負担を軽減する「業務量調査・業務見える化サービス」を提供しています。「何から手を付けたらいいのわからない」「過去に自社で業務調査を行ったがうまくいかなった」などのお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
2.マニュアル化する
現状調査によって明らかになった業務をマニュアル化することで、担当者だけでなく組織内の誰でも業務を処理できる準備ができるようになります。業務ごとに具体的なプロセスや注意したいポイントなどをわかりやすくまとめて、誰でも簡単にアクセスできる場所に格納しておくと良いでしょう。
加えて、マニュアルの保管方法としては、紙やデータなど現場の状況に合わせて適切なものを選択することが大切です。
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3.ツールを導入する
ツールの導入も、業務の見える化を実現する上で効果的です。業務を見える化するツールは、ログの取得による発生頻度や業務負荷の可視化、レポートの出力など、さまざまな機能で現場業務の効率化や従業員の負担軽減をサポートしてくれます。
ツールの導入には初期費用や月額費用がかかるケースもあるため、導入範囲と費用対効果をよく検討した上で選定することが大切です。
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業務の見える化の事例
業務の見える化ツールを使った事例のひとつとして、「ファシリティマネジメントシステム『SINGU FM』」を使った施設点検の事例を紹介します。
「ファシリティマネジメントシステム『SINGU FM』」は、ひとつのプラットフォーム上でビルなどの施設管理業務や総務業務をまとめてデータ化することで、業務を見える化できるソフトウェアです。使い方の一例として、モバイル端末を活用した点検状況の関係者共有が挙げられます。
施設点検の担当者は日々の点検作業を行いながら、モバイル端末からクラウド上の「SINGU FM」アプリに報告事項を入力します。このとき、点検で何らかの異常を見つけた場合、異常個所を写真撮影した上で、管理者に対して「チケット」と呼ばれる作業指示を仰ぐための依頼書を発行します。
チケットを受け取った管理者は、速やかに異常個所の内容確認と協力会社などの作業員に対応指示ができるため、異常解消までの流れがスムーズです。さらに、他のメンバーも「SINGU FM」アプリ上で対応状況や対応結果をリアルタイムで確認できるため、全員が共通意識をもって業務に取り組めます。
まとめ
業務の見える化を行うことで、生産性の向上や部署間の連携強化など、さまざまなメリットがもたらされます。加えて担当者の属人化解消にもつながり、業務負担の軽減をはかることができる点もメリットのひとつです。
業務の見える化を行う際は現在の業務を調査・分析し、業務内容や手順を洗い出しましょう。そのうえで、マニュアルの整備やツール導入を推し進めることが大切です。
パソナ日本総務部でも、業務の見える化に貢献する「ファシリティマネジメントシステム『SINGU FM』」や、業務調査をサポートする「業務量調査・業務見える化サービス」を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
パソナ日本総務部のBPOソリューション
BPO(業務委託)で自社のコア業務に人材・資源を集中する
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パソナ日本総務部が考えるBPO(業務委託)とは、一般的な「業務整理」だけではなく、企業の未来を実現するための「業務改善」を指します。時には、「業務改革」と呼べるような劇的な変化をもたらすこともあります。
そのために必要な人材が、設計を行うコンサルタントと、それを実現するプロジェクトマネージャーです。多面的な知識を有したコンサルタント陣が、経営陣へのヒアリングなどを通して現状を把握。綿密な分析を経て、それぞれのコア・ノンコア領域を整理し、BPOの設計を行っていきます。
その後、プロジェクトマネージャーが、コンサルタントの設計を実現すべく、業務の再現性などを考慮しながら、BPOを実現していきます。