マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明

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2023年10月24日 配信
2025年06月20日 更新

マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明

マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明
マニュアル制作

仕事上のタスクや、機密情報などルールに沿って慎重に管理すべき事柄を、適切に処理するために必要なのが業務マニュアルです。手順やルールなど、業務に関するさまざまな情報をまとめたものですが、作成する目的や運用するポイントが把握しづらいという側面もあります。
そこで今回はマニュアル作成の意義や、手順書・説明書・ハンドブックとの違いについて解説しつつ、実際にマニュアルを活用することで得られるメリットや効果的に運用するためのヒントもご紹介します。

目次

マニュアルとは?

マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明_マニュアルとは

マニュアルとは、作業の手順や流れ、システムやツールの操作方法などを体系的にまとめたものです。特にビジネスにおいては、さまざまな業務を円滑に遂行するために策定されています。
事務的な処理の流れや新人研修時の基本的な業務知識、作業フローや仕事を進めるうえでの考え方など、さまざまな情報をまとめたものがマニュアルです。業務のプロセスを理解して個々が一定の基準のもと仕事を進めるために必要とされています。

マニュアルと手順書、説明書、ハンドブックの違いは?

マニュアルと同様に、業務の流れや作業手順、ツールの使い方などを説明する文書として、「手順書」「説明書」「ハンドブック」があります。一見同じようなものに見えるかもしれませんが、それぞれ役割や目的が異なります。

手順書

手順書とはSOP(標準作業手順書)や作業標準書などとも呼ばれる書類で、作業ごとの細かなフローや工程など、より細かな流れに焦点を当てたものです。
手順書の役割は「業務の進行度合いや完成度のクオリティを組織内で標準化する」ことにあり、より幅広く業務に関するさまざまな情報をまとめたマニュアルとは、厳密には異なります。

説明書

説明書はツールや作業用機器、ソフトウェアなどの仕様や使い方といったオペレーションに関する内容説明を行うための書類です。
たとえばパソコンやスマートフォンの購入時に付属している取扱説明書などが該当し、機器の操作方法や仕様、トラブルシューティング、Q&Aなどを細かく説明する内容となっています。

マニュアルは「作業にまつわる手順や決まりごと、知識などを総合的にまとめた書類」で、手順書や説明書は「より細かな領域の操作方法や業務フロー、エラーやトラブルへの対処法を詳しくまとめたもの」と理解しておくと良いでしょう。

ハンドブック

ハンドブックは、特定の業務や作業に関する基本的な知識やルールを簡潔にまとめた冊子です。主に初心者や新入社員向けに使用され、全体像を把握するためのガイド的な役割を果たします。マニュアルや手順書が「やり方」に焦点を当てているのに対し、ハンドブックは「知っておくべきこと」や「基本的な考え方」を網羅的に記載しています。携帯しやすく、必要なときにすぐ参照できるのも特徴です。

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マニュアルの種類

マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明_マニュアルの種類

マニュアルには目的や使用場面に応じてさまざまな種類があります。業務の進め方を統一したり、新人教育に役立てたりするためには、適切なマニュアルの活用が欠かせません。ここでは代表的な「規範マニュアル」「業務マニュアル」「操作マニュアル」について、それぞれの特徴と役割をご紹介します。

規範マニュアル

規範マニュアルは、企業や組織内での基本的なルールや方針、行動指針などを示した文書です。就業規則やコンプライアンス、職場のマナーなど、すべての従業員が共通して守るべき基準を明文化しています。規範マニュアルの目的は、業務内容に直接関わる手順よりも、「どうあるべきか」という行動の基準を示すことです。社員の意識統一や組織文化の浸透に役立ち、企業の信頼性向上にもつながります。

業務マニュアル

業務マニュアルは、特定の業務を遂行するための手順やルールを体系的にまとめた文書です。目的や担当者、作業の流れ、注意点などが明記されており、誰が担当しても同じ品質で業務を行えるように設計されています。これにより、業務の属人化を防ぎ、引き継ぎや新人教育にも役立ちます。また、業務効率の向上やミスの防止にもつながるため、組織運営において欠かせない存在です。

操作マニュアル

操作マニュアルは、機械やソフトウェア、システムなどの使い方を説明するための文書です。具体的な操作手順や画面の説明、トラブル時の対処方法などが記載されており、ユーザーが正しく安全に利用できるようサポートしてくれます。

また、専門知識がなくても理解できるよう、図解やスクリーンショットを用いてわかりやすく構成されているのが特徴です。

マニュアル作成の目的

マニュアルとは?作成の必要性と目的、手順書や説明書との違いも説明_マニュアル作成の目的

マニュアルを作成する主な目的には、「業務品質の統一化と向上」「社員教育の効率化」「業務知識の共有」の3つが挙げられます。

業務品質の統一と向上

従業員がマニュアルを活用して業務の手順や判断基準を理解できれば、個人の能力の差にかかわらず一定レベルの品質で業務を行えるようになります。これにより業務の属人化を防ぐことができ、ミスの防止や品質向上にもつながります。

社員教育の効率化

マニュアルを作成することで、業務の進め方が標準化され、社員教育の教本としても活用できます。
マニュアルがあれば、業務中に不明な点があった時にも迅速に対応方法や解決策を確認できます。また、前任者から新任者に十分な引き継ぎができていない場合や、新人教育に時間を割けない場合でも、マニュアルを活用することで従業員自身で業務内容を理解できる可能性が高まります。

業務知識の共有

マニュアルの作成には、社内で明文化されていない業務知識やノウハウを共有する目的があります。

具体例としては、以下のようなものがあります。
●経験豊富なベテラン従業員が体得したコツ
●業務成績の良い優秀な従業員が心がけていること
●担当者間だけで引き継がれている業務手順
●未経験者から出やすい質問

このような周知されづらい業務知識をマニュアルに落とし込むことで、従業員一人ひとりの業務の理解促進や改善につなげられます。

さらに、充実したマニュアルに沿って業務を行うことでミスが減り、従業員の業務に対する自信や達成感を高めることができるでしょう。
加えて、業務がスムーズに進むことで時間に余裕が生まれると、業務効率の向上や業務改善にも取り組みやすくなり、仕事へのやりがいも高まる可能性があります。適切なマニュアルの運用は、従業員のやる気向上というメリットにもつながるでしょう。

マニュアルを作成するメリットとデメリット

マニュアルを作成するメリットとデメリット

マニュアルを作成するメリットとしては、新人への業務内容の伝達が容易になることや、作業の属人化を防ぐことが挙げられます。
しかし、マニュアルの作り方を誤ると、かえって作業効率や生産性の低下につながる可能性もあります。
ここでは、マニュアルを作成するメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

マニュアル作成のメリット

マニュアルの作成には、主に「業務効率の向上」「属人化の防止」「教育コストの削減」などのメリットがあります。

どのような仕事でも個々人の理解度や経験、スキルの違いによって達成度に差が出るものです。マニュアルを作成することで業務における行動や判断基準が明確化され、不要な確認や指示待ちを避けられます。その結果、業務の属人化が防げるだけでなく、作業内容や進捗の見える化により、ほかのメンバーとの情報共有も容易になります。
加えて、マニュアルをきちんと組み立てることで教育コストも大幅に削減できます。入社したばかりの新人メンバーや他部署から異動してきた従業員は、新しく行う仕事の流れをつかむまでに時間がかかります。基本的な事項などはなるべくマニュアル上で説明しておくことで、よりスムーズに仕事内容を習得できるでしょう。

マニュアル作成のデメリット

マニュアル作成のデメリットとしては「マニュアル作成に労力がかかる」「マニュアル更新が困難で形骸化する」などが考えられます。

マニュアルでは想定されていない緊急のトラブルなどが発生した時に、適切な対応方法がわからず従業員が混乱する可能性があります。また、頻繁にアップデートが必要な情報や手順が多い場合、一度作成したマニュアルを継続的に最新の情報に保つのは困難で、形骸化してしまうことも考えられます。
効果的なマニュアルを作成するには、作業手順だけでなく業務の目的や全体像、目指すべきゴールなどがわかるように記載することが大切です。

また、一からマニュアルを作る場合は多大な労力と時間がかかります。マニュアル作成を担う部署などがない場合は、従業員が自分の仕事と並行して作成する必要があるため、通常業務が圧迫される可能性も考えられます。

マニュアル作成の5つのポイント

マニュアル作成の5つのポイント

マニュアルには業務の手順を記載するだけでなく、業務の全体像を書くことで仕事の本質を伝えられるようになります。
ここでは、マニュアル作成の5つのポイントについてご紹介します。

5W1Hを明確にする

「5W1H」とは、Who、When、Where、What、Why、Howをまとめた略語で、「誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように」といった意味です。
5W1Hはビジネスにおいて、他者に何かを説明する時に欠かせない視点です。

業務マニュアルの作成時にも5W1Hを意識して盛り込むことで、内容をよりわかりやすく読み手に伝えることができます。
たとえば、「誰のためのマニュアルか」「いつ、どこで、何をするのか」「どのように業務を行うのか」などといったように、業務の順序をまとめていくと読みやすいマニュアルを作成できるでしょう。

作業・業務の全体像がわかるようにする

フローチャート図

マニュアルを作成する時は特定の業務の方法だけでなく、各工程のプロセスやステップを流れに沿って図式化する「フローチャート」を入れると視覚的にわかりやすくなります。

たとえば営業の仕事を簡易的なフローチャートにすると、「資料収集」→「アポイントメント」→「スケジュール設定」→「商談」→「見積もり」→「受注」などと表せます。業務の全体像が見えるようになると、その業務に関係するほかの部署との連携もとりやすくなるでしょう。

一目でわかる構成を目指し、難しい用語は使わない

マニュアルは、従業員が特定の業務に対しての対処法を探す時にも使われます。そのため、マニュアルの最初に目次をつけておくことで「何がどこに書かれているか」が明確になり、従業員が素早く確認できるでしょう。
また、誰が読んでも同じレベルで理解できるよう可能な限り一文を短くし、難しい用語を使わずに書くことで読みやすいマニュアルに仕上がります。

伝えたい箇所は強調する

マニュアルを作成する際は、特に重要な情報や注意点を強調する工夫が必要です。たとえば、太字や色分け、枠囲み、アイコンの使用などで視覚的に目立たせることで、読み手の注意を引きやすくなります。伝えたい箇所が埋もれてしまうと、ミスやトラブルの原因になる可能性があります。重要な手順や禁止事項、安全に関わる内容は、誰が見ても一目でわかるように表現することが大切です。

過去に発生したミスやトラブル、クレームも記載する

マニュアルには、過去に実際に発生したミスやトラブル、クレームの事例も記載すると効果的です。具体的な失敗例を紹介することで、同じ過ちを繰り返さないための注意喚起となり、再発防止につながります。これにより、実務での理解や注意力が高まります。また、なぜそのミスが起きたのか、どのように防ぐべきかを明示することで、現場での対応力やリスク管理の意識も向上します。このプロセスは品質向上にも寄与し、業務の効率化や顧客満足度の向上をもたらします。リアルな事例を盛り込むことは、実用性の高いマニュアル作りに欠かせない要素と言えます。

マニュアルを社内へ定着させるためのポイントは?

マニュアルを社内へ定着させるためのポイントは?

マニュアルはあらゆる業務において必須と言っても過言ではありませんが、せっかく作成しても定着せず、社内で形骸化するケースも珍しくありません。そのような事態を予防するためには、どのような事柄に注意すれば良いのでしょうか。

役割や意義を明確化する

「なんとなくあったほうが良いので作る」のように、目的がはっきりしないまま作成されたマニュアルは、後々機能しなくなる可能性があります。「どんな目的で作るのか」「なぜ必要なのか」など、マニュアルの存在意義を入念に考えたうえで作成することが重要です。

たとえば「メンバー全員が営業利益を5%向上させるために、成績トップ者の業務フローをマニュアル化する」「ミスやトラブルを未然に防ぐために、業務手順をルール化する」のようにマニュアルの役割や意義を明確にして作成すれば、自然と必要性が認知され定着していくでしょう。

マニュアル作成の担当部署をあらかじめ決定しておく

マニュアル作成時によくあるのが、「誰がマニュアルを作成するのか」「誰がマニュアルの存在を広めるのか」といった担当者の問題です。他業務の片手間に作成されたマニュアルは、他者の視点が盛り込まれにくいことから不足点が発生しがちで、うまく機能しないことが懸念されます。

マニュアルを作成・管理する担当者や部署を事前に定めておけば、確実に情報をまとめて共有し、組織内に定着させることも可能です。また業務内容や会社の目標など最新情報を常にマニュアルへ反映させる、現場とマネジメント層の双方の意見をすくい上げて作成するという点においてもマニュアル作成・管理担当を明確にしておくべきでしょう。

デザインを工夫する

社内のさまざまな業務の手順やノウハウをまとめたマニュアルは、相当な情報量になります。そのため、従業員がマニュアルを読んでいるうちに、理解が進まなくなることも考えられるでしょう。そこで、集中力を維持して読み進めることができるようなデザインにすることが大切です。見やすいマニュアルの作成方法については後述します。

クラウドで管理する

マニュアルを社内に定着させるには、誰でもすぐにアクセスできる環境を整えることが重要です。その手段として効果的なのが、マニュアルのクラウド管理です。クラウド上に保存すれば、パソコンやスマートフォンからいつでも閲覧でき、最新版への更新も即時反映されます。紙やローカルファイルでは起こりがちな情報の行き違いや古い手順の使用を防げるため、業務の正確性と効率が向上します。

マニュアルの作成や活用がうまくいかない原因

マニュアルの作成や活用がうまくいかない原因

マニュアルの作成や活用がうまくいかない主な原因としては、「マニュアル作成にリソースを割くことができない」「マニュアルの運用方法が整備されていない」「最新のマニュアルに更新できていない」という3つが考えられます。

マニュアル作成にリソースが割くことができない

マニュアル作成がうまくいかないケースの根本原因は、制作に必要な時間や人材といったリソースが十分に割けないことにあると考えられます。
マニュアルを作成するには、担当者によって異なる業務の進め方の把握が必要です。そして、社内に散在する情報やノウハウのどれが最適であるかを精査し、誰もが理解しやすい表現にまとめることは簡単な作業ではなく、相応の時間が必要となるでしょう。

通常業務の片手間に取り組むようなケースでは、機能的な内容のマニュアルの作成はなかなか難しいでしょう。
さらに、各業務の担当者が協力的ではないケースもあり、マニュアル作成が難航する原因にもなります。

まずは上司から「マニュアル作成のためにリソースをかける」という方針を発信し、プロジェクトチームの立ち上げやスケジュールの明確化を図ることが重要です。社内全体が積極的にマニュアル作成に取り組める体制を整えることが必要です。

マニュアルの運用方法が整備されていない

マニュアルの運用方法がきちんと整備されていないことも、失敗しやすい原因です。従業員がマニュアルをスムーズに活用できるよう、運用方法を工夫することが大切です。
マニュアルの運用を整備するにあたり、まずはマニュアルの所在を明確にし、従業員が必要とする時に、すぐに読めるような環境を整えることが重要です。

加えて「マニュアルに記載されていない問題が発生した時の対処方法」も記載しておくと良いでしょう。

最新のマニュアルに更新できていない

マニュアルは一度作成して終わりではありません。マニュアル作成の本来の目的は、日々の業務の効率化や品質向上、属人化の防止、社員教育への活用などです。それらの目的の達成のためには、マニュアルの作成後も適宜更新を行い、常に最新の内容を反映させる必要があります。
更新する際はまず、従業員からのフィードバックを受け、マニュアルが現場でうまく機能しているかを確認します。実際に業務を行う従業員に「わかりにくい表現はないか」「誤解を生む表現になっていないか」「初見でもスムーズに作業できるか」といった内容をヒアリングしてみると良いでしょう。

さらに、日々の業務を行う中で新しく発見したより良い方法や、想定外のケースに対処した時のノウハウなどをアンケートで収集し、必要な内容をマニュアルに反映します。
加えて、自社の商品・サービスの内容が新しくなった場合や、法改正や新たな規制の施行時など、業務にかかわる変化に応じて定期的に更新する必要もあります。

マニュアルの更新にあたっては、以下の点に注意が必要です。
●更新頻度のルールを決める
●更新した箇所を明確にする
●更新日時を漏れなく記載する
●新旧のマニュアルが混在しないよう、古いものを廃棄する

更新頻度は業務内容によって異なりますが、頻度が高すぎるとマニュアル作成の担当者の負担が大きくなることや、新旧のマニュアルが混在してしまう恐れもあります。反対に更新頻度が低すぎると、実際の業務内容と一致しないマニュアルになることが考えられます。まずは半年に1回程度の見直しを行うようにして、その後運用しながら自社にとって適切な更新ペースを整えていくと良いでしょう。

適切に更新し、常に最新の内容のマニュアルを運用するには、マニュアルの作成・管理を行えるITツールの活用も考えられます。
たとえば、クラウド型のマニュアル作成・管理ツールであれば、インターネットを通じて複数人でマニュアルの編集や更新を行うこともできます。

見やすいマニュアルを作成する6つのコツ

見やすいマニュアルを作成する6つのコツ

マニュアルは、内容が正確であるだけでなく「見やすさ」も重要です。いくら情報が詰まっていても、読み手が理解しにくければ意味がありません。誰が見てもスムーズに理解でき、すぐに実践できるマニュアルを作るには、いくつかの工夫が必要です。ここでは、見やすくて伝わりやすいマニュアルを作成するための6つのコツをご紹介します。

1.テキストや図を揃える

見やすいマニュアルを作成するには、テキストや図の配置を揃えることが基本です。フォントの種類やサイズ、見出しのスタイルを統一することで、読みやすく整った印象になります。また、図や表のサイズや位置も揃えることで視線の流れが安定し、内容の理解がスムーズになります。ページごとにレイアウトがバラバラだと読者が混乱しやすくなるため、全体のデザインに一貫性を持たせることが、伝わりやすいマニュアルづくりの第一歩です。

2.情報を時系列順にまとめる

マニュアルは、情報を時系列順にまとめることで読み手の理解を助けます。作業や操作の流れに沿って順番に記載することで、何をいつ行うべきかが明確になり、迷わずに進められます。特に初心者やマニュアルに不慣れな人にとっては、前後関係のわかりやすさが重要です。複雑な手順でも、時系列に整理することで全体の流れがつかみやすくなり、ミスの防止や業務の効率化にもつながります。そのため、直感的に理解しやすい構成を意識することが大切です。

3.箇条書きやチェックリストを活用する

情報を整理してわかりやすく伝えるには、箇条書きやチェックリストの活用が効果的です。文章だけで説明すると内容が埋もれがちですが、ポイントを箇条書きにすることで要点が一目で把握できます。さらに、チェックリスト形式にすれば、作業の進捗を確認しながら進められ、手順の抜け漏れ防止にもつながります。箇条書きやチェックリストは視覚的にも整理された印象を与えられるため、読みやすく、実用性の高いマニュアルを作成するうえで欠かせない工夫と言えます。

4.視線の動きに合わせて「Z」の流れで記載する

人の視線は、左上から右上、次に左下から右下へと「Z」の形で動く傾向があります。これを意識してマニュアルを構成すると、自然な視線の流れに沿って情報を伝えることができ、読みやすさが格段に向上します。たとえば、見出しを左上に配置し、重要なポイントを右上に、補足情報や図表を下段に配置すると効果的です。この「Zの流れ」を活かすことで、読者の視線誘導がスムーズになり、内容の理解や記憶にもつながります。

5.余分な装飾は避ける

マニュアル作成では、装飾は最小限に抑えることがポイントです。過度な色使いや装飾フォント、背景の柄などは、見た目のインパクトはあるものの、内容の理解を妨げる原因になります。特に業務用マニュアルでは、情報の正確さと読みやすさが最優先されるため、シンプルで統一感のあるデザインが望ましいと言えます。必要な部分だけに強調を使い、余分な装飾を排除することで、誰にとっても見やすく実用的なマニュアルになります。

6.適度に余白を作る

見やすいマニュアルを作成するためには、適度な余白を確保することが重要です。情報を詰め込みすぎると圧迫感が生まれ、読み手が内容を理解しづらくなってしまいます。段落の間や図表の周囲、ページの上下左右に余白を持たせることで、視線の流れが整い、必要な情報が自然と目に入りやすくなります。余白は「空白」ではなく「読みやすさのためのデザイン」として活用することで、マニュアル全体の完成度が大きく向上します。

マニュアルの活用に成功している企業の特徴

マニュアルの活用に成功している企業の特徴

企業の中には、マニュアルの定着化や活用に成功している組織とそうでない組織が存在します。マニュアルの運用を成功させるには、どんな要素が重要なのでしょうか。

「暗黙知」を「形式知」へと変えることを目標に据える

マニュアル化のメリットについては先ほど説明しましたが、特に重要なのが「業務を標準化すること」「情報を明確化すること」です。

仕事にまつわる知識や情報は、言語化されていない知識である「暗黙知」と、すでに言語化されている知識「形式知」の2種類に大別されます。暗黙知は個人の経験や感覚といった主観的な要素で構成されることが多く、中には重要なノウハウであるにもかかわらず共有されていないものも存在します。
マニュアルの活用に成功している企業では、この暗黙知をできるだけ減らし、仕事にまつわる大小さまざまなノウハウを形式知化することを目指している場合が多いようです。

たとえば、普段の作業中に何となく心がけている時短テクニックなどの暗黙知をマニュアルの中に組み込むことで形式知化され、最終的に組織全体の生産性向上などにつながることが期待されています。

実際の業務で活用されることを意識する

作成したマニュアルが見過ごされる原因として考えられるのは、「当たり前の内容しか書かれていない」「実態と一致していない」といったことです。そのようなマニュアルは参照する必要のない情報とみなされ、実際の業務で活用されることが減少してしまいます。

マニュアルには、日々の業務にプラスとなるアイデアやテクニックを積極的に盛り込むようにしましょう。それをルールとして定着させることで、マニュアルの活用度がさらに高まります。また、細かなポイントまでをマニュアル上でフォローしておけば業務効率も向上し、余裕が生まれる分、新たな気づきやアイデアが生み出されることもあるでしょう。

まとめ

まとめ

今回は業務の遂行を円滑にするためのマニュアルについて解説しました。マニュアルの作成や定着化には一定の労力を必要としますが、しっかりと作り込むことで業務をより効率的に進めることができ、ビジネスには欠かせないものとなります。
仕事上でやるべきことが見えにくくなっている場合や、既存のマニュアルがうまく活用できていない場合は、この記事を参考に改めてマニュアル作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
パソナ日本総務部では、「マニュアル・取扱説明書制作」サービスを提供しています。お客様のさまざまな利用シーンに応じて、業務マニュアルや保守・メンテナンス、施工工事に関するマニュアルなど、豊富な実績を基に幅広い分野に対応しています。
また、既存のマニュアルを第三者目線で「わかりやすさ」を追求した内容に進化させることも得意としています。
マニュアル作成や更新にリソースを割けずお悩みの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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