健康経営オフィスとは?導入するメリットと7つのポイントをご紹介
健康経営オフィスとは?導入するメリットと7つのポイントをご紹介
いま、「健康経営オフィス」という言葉が注目されつつあります。従業員の健康保持と健康増進が将来的に企業価値と収益性の向上につながるという考えのもと、戦略的に従業員の健康づくりに取り組もうという企業が増えているのです。 今回は健康経営オフィスとは何なのか、企業が健康経営を導入するメリットはどこにあるのか、健康経営オフィスのための7つのポイントとは何かについて、経済産業省の「健康経営オフィスレポート」を参考にしながらご紹介します。
従業員の健康と企業経営の関係とは
少子高齢化が進む日本では、働き手の減少が深刻化しています。生産活動の中心となるべき15歳から64歳までの生産年齢人口は、1992年をピークに減少する一方です。
総務省が発表した2019年10月1日時点の人口推計によると、日本における総人口と日本人人口はともに9年連続で減少しています。生産年齢人口は1950年以降、過去最低の7,507万2千人で、前年よりも37万9千人の減少となりました。
働き手が減少し続けるなか、今いる一人ひとりの従業員が健康で最大限のパフォーマンスを発揮できるようにすることは、企業が健全に存続していくために必要不可欠な取り組みなのです。
プレゼンティーズムとアブセンティーズム
従業員の健康が保たれていないと、プレゼンティーズムやアブセンティーズムといった問題が起こり企業に経営損失を与えることになります。
プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの心身の健康問題によりパフォーマンスが低下している状態、アブセンティーズムは健康問題による欠勤や休職によって業務が行えない状態のことです。
どちらも従業員の健康問題によるパフォーマンスの損失を表す指標として、WHO(世界保健機関)が提唱しています。
より大きな経営損失を与えるのはプレゼンティーズム
一見すると出勤をしているプレゼンティーズムの状態は、欠勤をして業務を行えないアブセンティーズムよりもまだいいように思えますが、実はそうではありません。従業員の健康に関するコストのうち、アブセンティーズムによる欠勤や医療費に関するコストよりも、プレゼンティーズムによって生じるコストのほうが圧倒的に高いとされています。
具体的には、従業員自身のパフォーマンス低下・ミスの増加だけでなく、しわ寄せを受けるほかの従業員のモチベーション低下、さらには職場全体の士気が低下するなど、プレゼンティーズムが与える経営損失は非常に大きく影響を与える範囲も広いといえるでしょう。
健康経営オフィスとは
「従業員の健康」はプレゼンティーズムやアブセンティーズムがもたらす経営損失を改善することにつながります。加えて働き手が減少している日本において、生産性や企業価値を高めていくためにも欠かせない要素だとして、いまあらためて注視されている課題なのです。
企業が従業員の健康づくりに取り組む方法の一つとして、多くの企業が導入しはじめているのが「健康経営オフィス」です。
健康経営オフィスって何?
健康経営オフィスとは、従業員の健康を保持・増進する行動や習慣を、企業が戦略的に誘発することでつくられる「生産性の高い場」のことです。従業員の心身を穏やかに保ち、活力を向上させることで、働き手一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できるようにします。
WHOはその憲章で「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」と、健康を定義しています。 健康経営オフィスも同じです。ただ病気予防に努めるのではなく、従業員が心身ともに健康でいきいきと働くことができ、さらにそうした従業員が増えることでオフィス・企業全体が活気にあふれた良い状態になることを目指しています。
健康経営オフィスがもたらすメリット
経済産業省が行った「健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業」において、200社以上の企業に所属する2万名以上のビジネスマンを調査したところ、健康経営オフィスがもたらすさまざまなメリットが明らかになりました。 オフィス環境を整備して健康の保持・増進につながる行動を誘発することで、「運動器・感覚器障害」「メンタルヘルス不調」「心身症(ストレス性内科疾患)」「生活習慣病」「感染症・アレルギー」の予防と改善につながったそうです。そして、最終的にプレゼンティーズムやアブセンティーズムの解消に結び付くこともわかりました。
プレゼンティーズムやアブセンティーズムが解消されることで、健康保険組合の保険料率の引き下げや労災補償費用の軽減、従業員のQOL(Quality of Life)の向上、将来的には生産性向上による収益のアップが期待できるでしょう。健康で活気に満ちた生産性の高い職場は優秀な人材の入社をうながし、退職者を減らすことで企業の持続的な発展へとつながっていくのです。
健康経営オフィスのための7つのポイント
健康経営オフィスの実現には、健康の保持・増進につながる7つの行動を従業員自身が自然と習慣にできる要素を、経営者側が戦略的にオフィスへ導入する必要があります。「什器・レイアウト・内装などの空間面」「照明・空調などの設備面」「ICT・インフラなどの情報面」「制度・ルールなどの運用面」などオフィス環境を整備することで、従業員の行動を誘発するのです。
1.快適性を感じる
オフィスを緑化する、ブラインドを上げて太陽の光を取り入れる時間帯をつくるなど、快適性を感じるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「姿勢を正す」「触感・光・音・香りを快適と感じる」「パーソナルスペースを快適と感じる」といった行動・感覚を誘発します。オフィスに快適性を感じることは、「運動器・感覚器障害」「メンタルヘルス不調」「心身症(ストレス性内科疾患)」の予防・改善につながります。
2.コミュニケーションをとる
社内新聞を毎日発行する、共同作業スペースを設けるなど、従業員同士にコミュニケーションが生まれるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「気軽に話す・あいさつする・笑う・感謝する・感謝される」「お互いの業務内容や会社の目標などを知る」「共同で作業をする」といったコミュニケーション・相互理解を誘発します。従業員同士でコミュニケーションをとることは、「メンタルヘルス不調」「心身症(ストレス性内科疾患)」の予防・改善につながります。
3.休憩・気分転換をする
リラクゼーションルームをつくる、リラックスタイムを設けるなど、休憩や気分転換が適切にできるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「飲食する」「雑談をする」「新聞を読む・インターネットを見る・整理整頓をする」「音楽を聴く・遊ぶ・ひとりになる」「仮眠する・安静にする・昼休みをしっかりとる・マッサージを受ける」といった体や気持ちを休めたり、能動的にさまざまな情報を収集したりする行動を誘発します。休憩や気分転換を行うことは、「運動器・感覚器障害」「メンタルヘルス不調」「心身症(ストレス性内科疾患)」の予防・改善につながります。
4.体を動かす
立ち仕事スペースをつくる、空きスペースに健康器具を設置するなど、体を動かせるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「座位行動を減らす」「歩く・階段を利用する」「ストレッチや体操をする・バランスボールなどの健康器具を利用する」といった日常的に体を動かす行動・習慣・意識を誘発します。体を動かして適度な運動をすることは、「運動器・感覚器障害」「生活習慣病」の予防・改善につながります。
5.適切な食行動をとる
社員食堂で健康メニューを提供する、カフェスペースをつくるなど、従業員が適切な食行動をとれるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「間食や昼食の摂り方を工夫する」といった正しい食行動を誘発します。暴飲暴食をする、長時間飲食をせずに仕事に没頭するなどといった不健全な食行動をあらためることは、「生活習慣病」の予防・改善につながります。
6.清潔にする
トイレタリーを充実させる、ロッカースペースをつくる、喫煙室でない場所での禁煙を徹底するなど、オフィスと従業員が常に清潔な状態を保てるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「手洗い・うがいをする」「身の回りを掃除する」「分煙する」といった行動・習慣を誘発します。職環境を清潔に保つことは、「感染症・アレルギー」の予防・改善につながります。
7.健康意識を高める
健康測定ブースを設ける、社内向けに健康セミナーを開催するなど、従業員の健康意識が高まるようにオフィスの環境を整備します。
それによって「健康情報を閲覧する」「自分の健康状態を定期的にチェックする」といった行動・意識を誘発します。健康意識を高めて自分自身を健やかに保つように従業員が行動することは、「運動器・感覚器障害」「メンタルヘルス不調」「心身症(ストレス性内科疾患)」「生活習慣病」「感染症・アレルギー」の予防と改善につながります。
まとめ
健康経営オフィスを導入することは、就業時間だけでなく従業員の普段の生活における健康意識を高めて心身を整える効果があります。企業価値や生産性の向上と合わせて、従業員のQOLの向上においても役立ちます。
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