防災訓練は企業の義務!実施すべき訓練を押さえよう
火災や地震などの災害はいつどこで発生するか予測できないため、日頃から備えておく必要があります。とくに企業は災害時に従業員や顧客の命を守る責任があるため、いざというとき適切な行動が取れるよう年に1回以上、防災訓練をすることが義務付けられています。
そこで今回は、企業の防災訓練が義務化されている理由をはじめ、防災訓練の重要性や具体的な訓練内容を解説します。あわせて、低コストで場所・時間を選ばずにできる「バーチャル防災訓練」についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
企業の防災訓練は義務?消防法について理解しよう
企業の防災訓練は、重要性の高さから義務化されています。
その根拠としてまず挙げられるのは、消防法 第36条(防災管理定期点検報告)です。大規模建築物には防災管理業務の実施が義務付けられており、毎年1回、防災管理点検資格者による点検を行い、その結果を消防機関に報告しなければなりません。
防災管理点検資格者による点検項目には「訓練マニュアルに基づき、1年に1回以上、避難訓練が実施されているか」もあることから、防災訓練は企業の義務と言えます。
また、労働契約法 第5条も根拠として挙げられます。「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められており、この点からも防災訓練は企業の義務と言えるでしょう。
なお、防災訓練の実施回数は特定用途防火対象物と非特定用途対象物で異なります。
その他の細かいルールは建物の大きさや規模によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
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万が一に備えよう!防災訓練の重要性
防災訓練は企業にとって非常に重要な活動であり、実施すべき理由には義務であること以外にも以下の3つが挙げられます。
1.従業員・顧客の命を守るため
災害時に重要なのは「人命を守ること」であり、企業には従業員と顧客の命を守る責任があります。
さまざまな災害を想定して防災訓練を実施すれば、従業員が「自分自身や顧客の安全を確保するにはどうすれば良いか」「どこに避難するのが望ましいか」などを考えるようになるため、非常時に適切な判断を下せるようになります。これにより、災害が起きたときに従業員自身の安全はもちろん、顧客の命も守ることができます。
2.顧客への損害を回避するため
災害が発生し事業が停滞した場合、「納品物の製作が納期に間に合わない」「顧客への商品・サービスの提供ができない」といった問題に直面することがあります。非常事態なので仕方ない部分もありますが、企業としては可能な限り事業を継続し、顧客への損害は最小限に抑えたいものです。
防災訓練を実施すれば、災害時の顧客対応をあらかじめ検討できるため、顧客が負う可能性のある損害を最小化することができます。
3.事業を継続させるため
災害により事業が停滞すると、上述したように顧客への損害が懸念されます。もちろん自社にとっても大きなダメージとなり、事業の継続・再開が困難になると売上が下がることもあるでしょう。
防災訓練の一環としてBCP(事業継続計画)の策定を行えば、災害発生時の損害を最小限に抑え、迅速に事業を復旧させることが可能です。これにより、売上の減少を回避できるほか、取引先からの信頼度や顧客満足度が向上することも期待できます。
要チェック!企業が実施すべき防災訓練の例
企業が実施すべき防災訓練は複数あり、以下は主な訓練内容の例です。
通報訓練
火災が発生したり重傷病者がいたりするケースを想定して、速やかに関係機関に通報する訓練です。
消防・救急の要請は一刻を争います。非常時に躊躇なく速やかに通報できるよう、消火・救急の通報の基準を学ぶと同時に、実際の通報練習を行いましょう。
消火訓練
火災発生時における初期消火の重要性や消火器の準備・使い方、消火活動について学びます。
消火器の使い方をマニュアルにまとめている企業は多いかもしれませんが、それだけでは不十分です。実際に消火器を手にして使ってみることで、はじめて手順を実践的に理解できます。消防車が到着するまでに従業員で適切な初期消火ができるよう、訓練を通して備えておきましょう。
避難訓練
火災や地震の発生を想定して、安全を確保しながら被害が及ばない場所まで避難する訓練です。具体的には、適切な避難経路を選定したり、非常口を確認したり、避難行動を演習したりします。
避難訓練を行う際は、災害発生時に咄嗟に身を守るためのシェイクアウト訓練も同時に実施しましょう。そうすることで、非常時に一人ひとりがパニックに陥らず適切に対処できるようになります。
応急救護訓練
災害時に負傷者が発生したことを想定して、救護方法や搬送方法を学び習得する訓練です。人工呼吸や心臓マッサージなどの心肺蘇生法のほか、AEDの使い方などを学びます。
平時の東京23区では、救急車が来るまで平均7~8分ほどかかると言われています。場合によっては救急車がなかなか来ないこともあるので、訓練を通して現場にいる人たちで応急救護ができる体制を整えておきましょう。
安否確認訓練
災害発生後に従業員の安否を確認する訓練です。具体的には、災害時を想定し安否確認システムなどで企業から安否確認の連絡を入れて、従業員に応答してもらいます。
訓練では、安否確認の連絡が従業員のもとへきちんと届き、従業員が問題なく回答できるかどうかを確認することが目的となるので、全従業員に必ず回答してもらうようにしましょう。
情報収集訓練
災害時に必要な情報を迅速かつ正確に収集するための訓練です。被害の規模によってはインターネットや電話の回線が混雑・途絶することも考えられるため、非常時の情報収集の方法を確認しておきましょう。
低コストで場所・時間を選ばずできる「バーチャル防災訓練」のすすめ
従業員の命を守るため、そして事業を継続させるためにも、万が一に備えて防災訓練を行うことは非常に重要です。しかし、なかには「人員・時間が限られる中で効果的な訓練が難しい」「訓練内容が毎年同じでマンネリ化している」といった課題を抱えている企業もあるでしょう。
そこで、おすすめしたいのがパソナ日本総務部の「バーチャル防災訓練」です。
バーチャル防災訓練とは、仮想空間上で災害シナリオを再現し災害時の適切な対応を学ぶ、新しい訓練方法です。インターネット環境があれば場所や時間を選ばずに訓練ができるので、従業員の業務スケジュールに合わせて防災訓練を実施することができます。
また、VRだからこそ災害状況をリアルに再現できるほか、昼夜などさまざまなシチュエーションで訓練できるため、マンネリ化からも脱却しやすいでしょう。
防災訓練における課題を解決しながら、従業員の防災意識を高め、効率良く実践に近い訓練を行うなら、ぜひバーチャル防災訓練の利用をご検討ください。
まとめ
企業における防災訓練は義務であると同時に、従業員と顧客の安全を守り、事業の継続を支える重要な活動です。万が一に備えて万全の体制を整えておくためにも、自社に合った実践的な防災訓練を年に1回以上は実施するようにしましょう。
効率性と低コスト、マンネリ化防止に重きを置いて防災訓練を実施したい場合は、バーチャル防災訓練に目を向けるのがおすすめです。この機会にぜひ利用を検討してみてください。