グリーンインフラとは?グレーインフラとの違いやメリット・デメリットを解説

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2024年02月05日 配信
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グリーンインフラとは?グレーインフラとの違いやメリット・デメリットを解説

グリーンインフラとは?グレーインフラとの違いやメリット・デメリットを解説
オフィス環境改善・施設管理

植物や水といった自然環境が持つさまざまな機能をインフラや生活空間に活かし、人と自然にとってより良い社会を目指す考え方を「グリーンインフラ」といいます。国土交通省が、2019年7月に「グリーンインフラ推進戦略」を公表したことで注目が集まり、自然を活用したまちづくりが改めて注目されるようになりました。
環境への課題意識が世界的に高まっていることから鑑みても、グリーンインフラの普及はさらに加速していくと考えられます。
今回は、グリーンインフラのメリットや注力されている背景などについてご紹介します。

グリーンインフラとは?

グリーンインフラ(Green Infrastructure)は、「自然の(=グリーン)」「基礎的施設(=インフラストラクチャー)」という意味を持つ言葉で、まちづくりに取り入れられる考え方です。「グリーン」とは単に植物を指すだけでなく、水や土、風、光、生物など多様な有機物も含みます。

例えば、植物が持つ保水力や気温を下げる効果などを活かして、緑地化を進めることで温暖化を抑え、都市部の気温が高くなるヒートアイランド現象を緩和することもグリーンインフラにより期待できる効果のひとつです。コンクリートジャングルの中にある緑地は、憩いの場になるといった癒し効果も期待できます。

グリーンインフラとグレーインフラの違い

一方で、「グレーインフラ」という考え方もあります。グリーンが自然の有機物を、グレーが無機物をイメージさせるように、強固なコンクリートや金属などを用いた人工の構造物を指します。
グレーインフラは、規格化が可能であるため、道路や堤防、トンネルなどをスピーディーに構築できます。

かつては、夏になると道路に打ち水をして地表の熱を下げるなど、自然の機能を活かしたしなやかな暮らし方が一般的でした。しかし近代化により社会がグレーインフラに染まっていくなか、コンクリートの老朽化や、自然を排除したことによる環境破壊、都市災害、心の閉塞感といった課題が深刻さを増しています。
そこで、グレーインフラに自然の多様な機能性を取り入れるグリーンインフラを融合し、より安心・安全な暮らしを目指すハイブリッドな考え方が求められるようになりました。

グリーンインフラのメリットと注力されている理由

グリーンインフラとは?グレーインフラとの違いやメリット・デメリットを解説

近年ではグリーンインフラのさまざまなメリットが注目され、多くの都市計画において注力されています。その理由について見ていきましょう。

地球温暖化や気候変動の対策になる

近年の世界規模の課題である地球温暖化や気候変動は、近代化によりグレーインフラが進み、自然を排除したことが一因だと考えられています。
グリーンインフラによるまちづくりが進めば、植物や水、土などが本来の機能を取り戻し、ヒートアイランド現象の緩和につながります。他にも、豊かな自然を取り入れた空間は、多様な生物の居場所となり、自然本来の生態系の育成も期待できるでしょう。
結果として、温室効果ガスの排出抑制につながり、地球温暖化や気候変動への対策に寄与できると考えられます。

地域の防災・減災につながる

グリーンインフラによるまちづくりは、地域の防災・減災対策としても有効だと考えられます。
近代化の過程で地面はアスファルトで表面を固められ、木々が根を深く張ることも、土壌が雨水を吸収することも難しくなりました。自然環境は樹木や土、水、風などのさまざまな要素が互いに作用しあっているものです。人工的に排除したことにより、結果として土砂崩れや水害などが起こりやすくなっているのはその一例です。
グリーンインフラで自然の要素を積極的に取り入れることによって、豪雨や地震、台風などの自然の猛威から地域を守ることにもつながるでしょう。

自然による多様なメリット

上記に挙げたように、グリーンインフラにおいては環境整備や防災・減災の側面に注目が集まりがちですが、他にもさまざまなメリットが存在しています。

そのひとつは、そこに暮らす人々の心身に良い影響を及ぼすことです。1984年に社会生物学者エドワード・O・ウィルソンが提唱した「バイオフィリア理論」は、「人間は生まれながらに自然を好む性質を持っている」という考え方で、緑をはじめとする自然に近い環境にいることで、人間は心身ともにリラックスできると言われています。グリーンインフラはコンクリートを中心に開発された街の中に生命の息吹を呼び戻し、植物や水辺のみずみずしさ、生物のいきいきとした姿に触れることで、ストレス低減やメンタルヘルスへの効果が期待できます。海外では、自然のなかで過ごすことによるさまざまな疾患の改善・予防効果が認められ、自然療法の一環としても、グリーンインフラの取り組みが拡大しています。グリーンインフラは、環境保全と人々の暮らしやすさを両立する「持続可能な社会の形成」に欠かせない考え方だといえるでしょう。

グリーンインフラのデメリットと課題

グリーンインフラのメリットは多様にありますが、デメリットも存在します。課題をよく理解した上で、効果的に取り入れることが重要です。

初期コストがかかる

コンクリートを用いたグレーインフラは規格化できるため、規模やコストによってどのように構築するかを計算できます。一方でグリーンインフラを形成するには、その地域の特性や自然素材の個体差などを考慮した複雑な設計が必要になります。コンクリートに囲まれたエリアに自然環境を再現するためには、生態系の維持や植物の生育を阻害しない配慮が求められます。さらに都市部は地価が高騰しているため、緑地のスペースを確保するにも費用がかかるでしょう。

これらの理由から、グリーンインフラの導入には初期コストがかかる傾向にあることを念頭に置く必要があります。

メンテナンスに手間がかかる

有機的に変化する「自然」を相手にするので、適切かつ柔軟な管理が必要となることも課題です。日々成長する芝生を刈りそろえるように、まちづくりに取り入れたグリーンインフラにおいても随時メンテナンスが必要です。

高温多湿な日本では、海外の事例と同じように整備すれば良いとは限りません。国内でも地域によって気温差や日照時間の違いがあるため、メンテナンスを画一化することは難しいでしょう。
グリーンインフラを導入するには、各地域の状況や各企業の事情を反映して、継続的に維持管理できるかを検討していく必要があります。

企業の取り組みとしておすすめのバイオフィリックデザイン

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グリーンインフラをオフィス空間や公共施設に取り入れる考え方として、「バイオフィリックデザイン」も話題を集めています。
バイオフィリックデザインとは、バイオフィリア理論に基づき、屋内でも自然とのつながりを感じられるように空間を設計することです。人や動物は本能的に自然を求めているとの考えから、ビジネスの現場ではバイオフィリックデザインを従業員のウェルビーイングに活用する事例が増えています。

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