オフィス移転の費用・相場はどれくらい?失敗しないための4つのポイント
オフィス移転の費用・相場はどれくらい?失敗しないための4つのポイント
通常、オフィス移転には約数百万円~数千万円もの費用がかかるといわれています。立地やオフィスの造作などによって左右されるものの、基本的には企業規模の大きさに比例するようです。 今回はオフィス移転の費用相場を詳しく解説しつつ、オフィス移転成功のポイントなどについても触れていきます。
オフィス移転の費用概算表で目安を知ろう!
オフィスを移転するにあたって、どのくらいの費用がかかるのか知りたいという方もいらっしゃるでしょう。オフィス移転には「旧オフィスの退去時にかかる費用」「新オフィスの入居時にかかる費用」「オフィスの引継ぎ時にかかる費用」の主に3つの費用がかかります。
ここでは、3つの費用のそれぞれの内訳を表にまとめました。
旧オフィスの退去時にかかる費用
概算費用 | |
原状回復工事費用 | ~50坪程度の小規模オフィス:3~5万円/坪
50坪~の大規模オフィス:5~10万円/坪 |
賃料 | 契約に応じて必要な月数分を支払う
(一般的に3~6カ月前までの退去予告が必要) |
不要物の廃棄費用 | 2トントラック:7~8万円
4トントラック:12~15万円 |
旧オフィスの退去時には、入居時の状態に戻すための原状回復工事費用と退去までの賃料、不要物の廃棄費用がかかります。
50坪程度のオフィスを想定すると原状回復工事費用だけでも250万円(1坪5万円の場合)かかるため、賃料や不要物の廃棄費用と合算すると300万円以上必要になる可能性もあります。
新オフィスの入居時にかかる費用
概算費用 | |
敷金 | ~50坪程度の小規模オフィス:賃料の4~6カ月分
50坪~の大規模オフィス:賃料の6~12カ月分 |
礼金 | 賃料の1~2カ月分 |
仲介手数料 | 賃料の1カ月分 |
保証会社の加入費用 | 賃料の1カ月分 |
前賃料 | 入居月と翌月の2カ月分 |
内装工事費用 | 1坪あたり25万円~40万円 |
設備工事費用 | 1坪あたり5万円~15万円 |
備品購入費用 | 従業員1名あたり5万円~30万円 |
火災保険料 | 2万円(2年契約) |
新オフィスの入居時には、入居する物件の賃料に応じた敷金・礼金・仲介手数料のほか、保証会社の加入費用がかかります。一般的に地域差があるとされる項目であることに留意が必要です。
また、前賃料として入居月と翌月の2カ月分、内装工事や設備工事費用のほか、オフィス家具などの備品購入費用や火災保険料なども必要です。
オフィスの引継ぎ時にかかる費用
概算費用 | |
告知費用 | 従業員1名あたり1万円 |
引っ越し費用 | 従業員1名あたり3~5万円 |
届出書類作成費用 | 10~25万円 |
移転にあたって旧オフィスを退去する際に、取引先などに移転の告知を行う必要があります。告知費用は従業員1名あたり1万円程度を想定しておくと良いでしょう。
移転当日の引っ越し費用はオフィスの規模にもよりますが、3~5万円程度かかります。 さらに、住所移転後には届出のための各種書類を作成する必要があり、10~25万円程度かかります。
オフィス移転にかかる費用相場とは?
オフィスの移転には、入居から退去に至るまでさまざまな費用が発生します。ここでは前述の費用概算表のうち、主な諸費用について項目別に解説しつつ、その費用相場をご紹介します。
既存オフィスの原状回復費
オフィスを移転する場合、既存オフィスを明け渡す時点で原状回復工事を行うことが求められます。
基本的には契約時の取り決めに従って借主側がこの費用を負担することになり、相場は規模にもよりますが一坪あたり約3~10万円とされています。オフィスの規模感やレイアウトによって費用相場は大幅に異なり、特に大きい坪数のオフィスや内装を用途に合わせて造作している場合には、水準よりも多めの費用が必要となります。
オフィスの一部をカフェスペースなどに改装していたり間取りの変更を行っていたりする場合には相応の負担となるため、事前に複数の業者から相見積をとって比較すると良いといわれています。ただし、ビル管理会社が原状回復工事業者を指定している場合もあるため、事前に貸主へ確認しておくようにしましょう。
原状回復費についてはオフィス契約時に納めている敷金である程度カバーできる場合もあるため、不動産会社や貸主との協議を入念に行ったうえで費用を算出することも重要です。
オフィス移転の引っ越し費用
オフィスの移転時には引っ越しにまつわる諸費用も発生します。その相場は従業員1人あたりに対して約3~5万円程度とされ、引っ越し業者の繁忙期とされる2~4月には人件費などの兼ね合いから相場価格の1.5倍程度に上昇することも珍しくないようです。
さらに、引っ越しで発生するOA機器やオフィス用具などの什器の処理費用も必要になります。トラック(4t)1台につきおよそ12万円が相場とされ、精密機器や機密情報を含む記録媒体など特殊な廃棄処理が必要な物品にはオプション料金が必要なこともあります。
引っ越しや物品廃棄に関する諸経費を抑えるためには、移転の計画段階からできるだけ引越し業者の繁忙期を避けてスケジュールを組み、不要な家具などは買取りに出せるよう、事前に調査を進めておくと良いとされています。
新しいオフィスの契約費用
新たなオフィスの契約時にも、通常の不動産契約と同様にさまざまな諸経費が必要です。
敷金・礼金や不動産会社へ支払う仲介手数料や火災保険料などがそれにあたるほか、賃貸契約において支払う前家賃なども契約時に支払うことが一般的です。
なお、項目別での費用相場は敷金が賃料の4~12カ月分程度で、礼金は1~2カ月分相当、仲介手数料・前家賃は賃料の1カ月分相当、火災保険料はフロア面積によって異なることが一般的です。
仲介業者によっては時期により、仲介手数料半額や無料といったキャンペーンを実施していることもあるようです。
新しいオフィスの内装工事・設備投資費
新オフィスの整備にも相応の費用が必要になります。内装工事費や各種設備費に加え、ネットワーク工事費用などが発生します。
その費用相場はオフィスの規模感やレイアウトなどによって大きく異なりますが、合計すると1坪あたり約25~40万円の金額が必要となる場合が多いようです。例えば従業員数30名程度、執務室だけのオフィスであった企業が、会議室付きのオフィスへと移転すると50坪~60坪程度の敷地が必要ですが、その場合には1,250~2,400万円程度の費用が発生する計算となります。
その他の諸経費も合わせると数千万円以上にも及ぶ費用が必要となると見込まれ、オフィス移転にかかるコストがいかに大きなものかがわかります。
住所変更に伴うその他諸経費
退去や引っ越し、工事だけがオフィス移転時の作業ではなく、会社の住所変更に伴うさまざまな手続きも必要となります。
例えば各関係機関への届出や取引先・顧客へのお知らせ、パンフレットや封筒に記載している住所の修正、ホームページなどの更新などがこれに該当します。印刷物の新規発注なども踏まえると、従業員1人あたり1~3万円程度の費用が必要になるとされています。
加えて、社会保険事務所・法務局・税務署などへ提出する書類の作成には高度な専門知識が必要となるため、10~25万円程度の費用を払って行政書士事務所へと業務を委託することが多いようです。
オフィス移転を成功させるポイント
このように、総額で数百万円から数千万円以上かかることも珍しくないのがオフィスの移転費用です。多くのコストが必要となる分、失敗が許されないことがわかります。
では、オフィス移転を成功させるにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。続いてはオフィス移転のポイントをご紹介します。
1.オフィス移転費用の見積もりは複数業者からとる
オフィス移転に限らず物品の発注やサービスの契約時にも共通しますが、まずは複数業者から「相見積」をとって計画を進めていくことが重要といわれています。
例えば、費用は相場より高めであるものの細かなサービスを提供してくれる業者や、安価な代わりに最低限のサービス提供にとどまる業者など、その内容は業者によってさまざまです。
予算感や企業規模、事業内容などに合わせて自社のニーズを実現してくれるパートナーを選ぶと良いでしょう。ただし、業者によって見積書の書式や項目は統一されていないことが一般的で、単純比較は意外と難しいことに留意する必要があります。
2.費用を抑えたい場合には備品の再利用も検討する
オフィスの移転時には、できる限り不必要な経費を削減して予算を定めていきたいものです。
退去時の原状回復や入居時の内装工事といった必須の作業にかかる費用を抑えることは難しいかもしれませんが、新たな什器の購入やOA機器の新調などを見送り、既存の備品を再利用すればある程度のコストを削減できるでしょう。
もちろん、旧オフィスで利用していた備品が新たなレイアウトの問題から利用できなくなる場合や、新調する必要があるものについては新たに発注せざるを得ません。あくまで自社の備品のコンディションや新オフィスのレイアウトなどに合わせて要・不要を取捨選択していくことが重要であるとされています。
3.工事は複数業者に依頼しない
オフィス移転において重要とされているのが「工事などを複数業者へ依頼しない」ことです。
オフィス移転は最低でも半年以上必要であることに加え、物件選定から工事まで膨大な工数がかかります。一見するとそれぞれの工程で専門業者に委託した方がコスト面でもクオリティ面でも優れていると感じるかもしれませんが、関わる業者が増えることで依頼やスケジュール調整の手間が大幅に増大します。そのため、工数削減の観点から移転時のパートナーはできるだけ絞ることが望ましいといわれています。
業者によっては各工程の専門業者を取りまとめ、本来はオフィス移転を行う発注側が行う個別のやり取りを一括代行してくれる場合もあります。
4.オフィス移転のコンサルティングを依頼する
オフィス移転は費用だけでなく作業量も膨大となるため、企業によっては「移転を進めたいが時間がない」「人員に余裕がない」といった懸念もあるでしょう。そういった場合に活躍するのが、オフィス移転専門のコンサルティングサービスです。
オフィス関連のサービスを営むさまざまな企業が、移転専門のコンサルティングを請け負ってくれる場合があります。
業種によってそれぞれに得意分野が異なり、例えば不動産会社であれば貸主との条件交渉や物件の検索において独自の強みを発揮することが期待できるとされています。ほかにも、オフィス移転にまつわる業務のほぼすべてを一括して請け負う専門業者も存在します。
オフィス移転費用の勘定科目は?
オフィスの移転時に発生する費用は大きく、会計処理をどのように行ったら良いのか混乱してしまうこともあるでしょう。決算時に税金面で思わぬ損失が生じるケースや、処理ミスで事務作業の手間が増えてしまうことなどが懸念されます。
そこで、最後にオフィス移転費用の勘定科目について整理します。
オフィス移転に関する費用は雑費として会計処理することが一般的です。雑費とは「広告宣伝費」や「水道光熱費」といった明確な項目に当てはまらない支出をカテゴライズするための項目です。税法上の明確な定義がないため、突然の出費などを雑費計上することも珍しくないでしょう。
ただし、不動産会社へ支払う仲介手数料は「支払手数料」、内装工事費や新オフィスの敷金などは「資産」として扱われるなど、その内容は項目によってさまざまです。
そのため、オフィス移転時には経理部門とも相談を進めながら「何がどの勘定科目に該当するのか」を入念に見極めることが求められます。
まとめ
大きな工数と費用が必要となるオフィスの移転作業は、自社ですべてを賄おうとすると思わぬ負担増となり、本来の日常業務が立ち行かなくなるリスクもあります。費用対効果や人的リソースの面を鑑みると、移転に伴う諸作業を一任できる業者へまとめて発注することがプラスとなるとも考えられるでしょう。
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