BPaaS(ビーパース)とは?BPOやSaaSとの違いも解説!
BPaaS(ビーパース)とは?BPOやSaaSとの違いも解説!
ビジネスプロセス全体をアウトソーシングできる「BPaaS」をご存じでしょうか。BpaaSでは人の手による業務遂行とクラウドシステムがセットで提供される点が、BPOなどの従来のアウトソーシングサービスと異なっています。
BPaaSは、導入コストを抑えたうえでスピーディーに業務効率化を実現できる点をはじめ、企業のさまざまな課題解決に役立ちます。今回は、BPaaSを導入するメリットやデメリット、導入が向いている企業などをご紹介します。
BPaaS(ビーパース)とは
BPaaSはBusiness Process as a Serviceを略した用語で、ビジネスプロセスそのものをクラウドを通じてアウトソーシングするサービスを指します。
例えば、アプリケーションの実行、オンライン上のデータ処理、自動化タスクの実行など、さまざまな業務の効率化がBpaaSによって可能になります。
BpaaSを利用すれば企業は業務負荷を軽減でき、自社のリソースを他の重要業務に回すことが可能になります。
BPaaSの市場規模
日本では比較的新しいビジネス用語であるBPaaSですが、海外ではすでに活用が進んでいます。
2021年に市場調査会社のKenneth Researchから発表された調査レポートによると、2022年のBPaaSの市場価値が769億米ドルのところ、2030年末までには1,389億米ドルに成長すると予測されています。
人材不足や働き方改革により業務効率化や生産性向上が求められている日本国内でも、今後の急成長が見込まれると考えられます。
BPaaSとBPO、SaaSとの違い
BPaaSと類似する既存サービスに、BPOやSaaSがあります。いずれも業務効率化の手段として挙げられるサービスですが、その仕組みは異なります。
BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、BPaaS同様にビジネスプロセスを外部企業にアウトソーシングすることを指します。
BPaaSがクラウドを通じて利用するのに対し、BPOは外部専門業者の人の手で業務を代行してもらう仕組みです。BPOはBpaaSと比較して、アウトソーシング委託先の人材の能力により業務効率化の効果が左右されることや、自社内にノウハウが蓄積しにくいことが懸念点として挙げられます。
SaaSはSoftware as a Serviceの略で、クラウド上のソフトウェアを利用して業務を遂行することです。BPaaSもクラウド上のサービスを利用しますが、SaaSはアウトソーシングサービスを含みません。
つまり、このBPOとSaaSを組み合わせたサービスがBPaaSにあたります。
BPaaS導入のメリット
BPaaSを導入すると、さまざまなメリットが得られます。
例えば、自社内でシステムを構築する必要がなくなります。導入時のコストを抑えられるだけでなく、業務プロセスの変更時や維持管理のためのメンテナンス費用なども発生しません。
さらに、BPaaS事業者はアウトソーシングする分野のプロフェッショナルであるため、業務品質や生産性の向上にもつながります。
BPaaSよってコスト削減や生産性向上などの効果が得られれば、自社の資金や人材などの貴重なリソースをより重要な業務に充てられます。リソースを新商品の開発や戦略的プロジェクトなどに注力すれば、企業の競争力強化も期待できるでしょう。
BPaaS導入のデメリット
BPaaSの導入によって起こりうるデメリットもあります。
その一つが、セキュリティリスクが高まるという点です。委託先であるBpaaS事業者に提供したクラウド上の自社データが、第三者にアクセスされる可能性があるためです。委託先のセキュリティ対策については、十分確認する必要があるでしょう。
他にも、BPaaS事業者のサービスが何らかの理由で中断した際に、自社の事業に影響が出る可能性もあります。あらかじめ何らかのバックアップ対策をとっておくことが重要です。
いずれにしてもBPaaS事業者に依存しすぎずに、いざというときには自社でも対応ができるよう、BPaaSの導入リスクに備えておくことが大切です。
BPaaSの導入例
では、どのような業務にBPaaSが活用できるかをみていきましょう。
人事管理サービス
人事管理サービスにBPaaSを導入すると、業務を自動化することができるうえに、さまざまな効率化にもつながります。
例えば採用プロセスの場合、求人情報の掲載やリスト作成、候補者のスクリーニングなどが自動でできるようになります。それだけでなく、人の目によるスクリーニングも行うため、自社のニーズに合致する人材を見落としにくくなるといったメリットも得られます。
また従業員の人事評価業務にもBPaaSの導入は有用です。人事の専門家が、企業のニーズに合わせて評価制度の設計やクラウドサービスの提供、運用サポートまで行います。
調達管理サービス
企業の調達プロセスでは、仕入れ先の選定やコスト交渉、契約管理、スケジュール調整などの管理が煩雑になりがちです。
従来、調達管理のアウトソーシングやシステム導入は一般的に行われていました。BpaaSによる人の手とテクノロジーの組み合わせであれば、さらに効率的な業務プロセスの実現が期待できるでしょう。
財務・会計サービス
財務や会計などの経理関連の業務においても、専門的スキルを持つ人材とクラウドシステムによるBPaaSが業務品質の向上に役立ちます。
財務・会計に精通したBPaaS事業者なら、相次ぐ法改正への迅速な対応だけでなく、企業の競争力強化に向けた戦略的な業務改善も期待できるでしょう。
カスタマーサービス
カスタマーサービスにも、BPaaSを導入できます。具体的には、ヘルプデスクやコールセンター、チャットボットなどが挙げられます。
自社内でカスタマーサービス機能を持つ中で大きな負担となるのが、設備の購入や維持管理、オペレーターの人件費などです。こうしたコストは、外部のBPaaS事業者に依頼することで大幅に抑えられる可能性があります。
また、接客対応のプロが自社の顔として顧客とのコミュニケーションをはかるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
BPaaS導入に向いている企業
BPaaS導入による効果を期待できるのは、以下のような企業です。
ITへ投入するリソースに限界がある企業
あらゆるビジネスシーンでIT化が求められる時代です。しかしITシステムを運用・管理する人材の確保にもコストがかかるため、ITにリソースを投入することが難しい企業もあるでしょう。
BPaaSを導入すれば、ITへのリソース投入を抑えながら、最新のテクノロジーやプロフェッショナル人材による業務推進をはかることができます。スタートアップや中小企業といったリソースが限られている企業に向いているといえるでしょう。
専門的知識が必要な業務が多い企業
人事労務や税務申告といった法改正が頻繁に発生する業務や、医療法人など患者の健康に関するデータを扱う業務などでは、その対応に専門的な知識が必要です。自社内でミスなく業務を遂行するために、従業員に大きな負担をかける可能性もあります。
そこで業務のプロフェッショナルであるBPaaS事業者に託せば、業務の精度を高めることができます。
グローバル展開が進む企業
BPaaSは、世界進出に挑む企業にとって頼りになるサービスです。国や地域が変われば、法律や商習慣も変わるため、グローバル展開を目指すには各国の事情に応じた対応が求められます。
そこでグローバル展開に対応しているBPaaS事業者なら、現地の状況に即したサービスを提供してくれます。さらに地域の事情を踏まえたビジネス戦略のアドバイスなども期待できるでしょう。
外部委託を活用して業務の効率化をはかろう
外部の専門業者に業務をアウトソーシングするBPaaSやBPOを導入すれば、自社従業員の業務負荷の軽減や業務品質の精度向上が期待できるでしょう。また多くの業界で課題となっている人手不足の解消にもつながります。
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