バイオフィリアでオフィス環境を一新!緑を取り入れる効果と導入例
バイオフィリアでオフィス環境を一新!緑を取り入れる効果と導入例
従業員が快適に働くことのできる環境を整えるためには、福利厚生に注力するだけでなく、オフィス環境にも配慮する必要があります。中でも「バイオフィリア(Biophilia)」によるオフィス環境の整備は、心身ともにリラックスすることから生まれる効果が期待できるとされています。 バイオフィリアとは、「人間は本能的に自然とのつながりを求める」という考え方です。この概念をベースにオフィス環境を整えれば、従業員のモチベーションとパフォーマンスの両方を向上させることができます。 そこで今回は、バイオフィリアをオフィスに取り入れることで期待できる効果と、実際にバイオフィリアを採用しているオフィスの導入例、バイオフィリアの具体的な取り入れ方についてご紹介します。
バイオフィリアの考え方を導入!期待できる3つの効果とは
オフィスにバイオフィリアの概念を取り入れた場合に期待できる効果は、「幸福度の向上」「生産性の向上」「創造性の向上」の3つです。これは、ロバートソン・クーパー社が世界16カ国の働く人々を対象に行った調査で明らかにされています。 幸福度については、オフィスで自然と接する機会がない人に比べて、自然と接する機会がある人のほうが15%高いという結果が出ています。また、観葉植物の設置や積極的に日光を取り入れているオフィスのほうが、そうではないオフィスに比べて生産性が6%、創造性が15%高いことも報告されています。
これらの結果から、オフィスにバイオフィリアの考え方を取り入れることは、従業員が快適に働くオフィス環境を作る上で重要だとわかります。
参照:Human Spaces「世界中の職場における、バイオフィリックデザインが与える影響」
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参考にしよう!オフィスにバイオフィリアの概念を取り入れた5つの導入例
バイオフィリアの考え方を導入したオフィスは国内外に複数あり、例えば以下の5社が挙げられます。
1.大自然に囲まれた SelgasCano
スペインの建築事務所「SelgasCano」は、「自然と働く人の調和」というテーマのもと、バイオフィリアの重要性に加えて、ユニークな創造性も感じさせるオフィスを作り上げています。
森林に囲まれたオフィスは半分が地面に埋まっており、自然との一体感を強調しています。透明のアクリル板を使用した窓を設置しているため、豊かな森林の眺めを身近に感じることができます。また、窓ではない部分には、ファイバーグラスとポリエステルで作られた厚さ110mmの壁を設置しており、太陽光と日陰の両方を感じることで、より自然の中に居ることを実感することができます。
2.人と植物が過ごしやすい環境を再現 Amazon Spheres
ECサイト最大手「Amazon」は、球体型のワークスペースにバイオフィリアの考え方を取り入れています。
最大の特徴は、オフィス内の至る所にある4万本以上の木や植物です。これは、快適な気温と潤い豊富な湿度を保つ「雲霧林(うんむりん)」という熱帯林の環境を再現するために考えられたデザインのひとつです。オフィスいっぱいに植物の香りが漂い、まるで森の中にいるような感覚を味わうことができます。なお、日中のオフィスの室温は20~23度、湿度は60~65%が保たれています。
3.常に自然と隣り合う Allegro
Eコマースプラットフォームを提供している「Allegro」は、超高層ビル内のオフィスにバイオフィリアの概念を導入しています。
5,500平方メートルもの広いスペースに観葉植物を複数設置することで、視覚的な自然とのつながりを実現しています。また片側の壁一面が窓になっているため、日中は太陽光も浴びることが可能です。オフィス内の休憩スペースは、床が芝生になっていたりブランコが設置されていたりと、ユニークな発想も取り入れられています。バイオフィリアに加えて、従業員がホッと一息つけるような要素も取り入れることで、「人が戻るオフィス」を上手に実現しています。
4.自然を模したデザイン設計 ヤンマー株式会社
日本の農業機械メーカー「ヤンマー株式会社」は、本社ビル全体にバイオフィリアの考え方を取り入れています。
この本社ビルは「自然との共生」というコンセプトをもとに設計されており、自然を考慮したスペース・デザインには、例えば水が流れるエントランスや、国内最大規模の壁面緑化、ガラス張りの都市養蜂場などがあります。2017年11月にはこれらのデザインが評価され、アメリカで開催された環境建築の顕彰「Biophilic Design Award」で、大賞に次ぐ「Honorable Mention」を受賞しています。
5. ストレス軽減効果のある植物でオフィスのオアシス作り 株式会社プライムアシスタンス
ロードアシスタンスサービス事業を展開する「株式会社プライムアシスタンス」は、オフィス内の受付にバイオフィリアの考え方を導入しています。
単に観葉植物を置くという緑化ではなく、科学的なエビデンスに基づいた、ストレス軽減効果が期待できる植物を設置するという本格的な取り組みにより、お客様と従業員の両方にとって居心地の良いオフィス環境を実現しています。また、観葉植物を設置する際のデザイン性にもこだわり、調和のとれた美しいオフィス作りを成功させています。
株式会社プライムアシスタンス/受付・コンタクトセンター様 コモレビズ導入事例
押さえておきたい!オフィスにバイオフィリアの考え方を取り入れる方法
オフィスにバイオフィリアの考え方を取り入れることは、決して難しくありません。必ずしもビルの移転や改装をする必要はなく、オフィスに観葉植物を設置するだけでもバイオフィリアを実現することはできます。また、バイオフィリアの導入を専門企業に一任するという選択肢もあります。以下でご紹介する方法を参考に、ぜひオフィスにバイオフィリアの考え方を取り入れてみてください。
観葉植物を設置する
観葉植物を設置するだけで、自然とのつながりを感じるオフィスを実現できます。観葉植物の設置場所に最適なのは、従業員の執務空間や、お客様が利用されるスペースです。例えば、従業員のデスク周辺や会議室、受付などが挙げられます。
観葉植物を設置した後は、枯れることのないように温度調節や水やりなどのメンテナンスを徹底して行う必要があります。しかし、従業員が日々の業務に追われていると、管理が行き届かない場合や負担に感じることも考えられます。そのため、オフィスに設置する観葉植物は、比較的育てやすい「パキラ」や「サンスベリア」「カポック」「オリーブ」などがお薦めだとされています。
BPOを利用する
バイオフィリアの導入は、BPOを利用して行うことも可能です。 BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、総務や人事、経理など、企業の業務の一部を外部企業に委託することを指します。BPOを利用すれば、従業員が自社でしか対応できない重要な業務に注力できるほか、業務の効率化やコスト削減を図ることができます。
BPO事業を展開している企業の中には、バイオフィリアの導入をサービスのひとつに掲げている企業もあります。例えば、株式会社パソナ日本総務部の「COMORE BIZ(コモレビズ)」は、そのひとつです。
COMORE BIZは、オフィスを人間に最適な自然環境に近づける「バイオフィリア理論」の実践により、快適なオフィス環境を作り出すソリューションサービスです。バイオフィリアの研究に基づく科学的根拠を考慮した上で、空間設計をはじめ、植物の設置やメンテナンス、ストレスチェックを行います。
BPOであれば、専門的な知識を持ったスタッフに、バイオフィリアの導入に関する企画立案や、定期的なメンテナンスを一任することができます。「バイオフィリアの導入を検討しているが、何から手をつければ良いかわからない」「バイオフィリアの効果を最大限に引き出すオフィスを作りたい」という場合は、積極的にBPOを利用しましょう。
バイオフィリアの考え方を取り入れて、快適なオフィス環境に!
オフィスにバイオフィリアの概念を導入すれば、従業員が快適に働くことのできる環境を実現することができます。また、働く意欲につながる幸福度、業績に直結する生産性や、創造性の向上も期待できます。「オフィス環境を一新したい」「従業員満足度を高めたい」という場合は、ぜひバイオフィリアに目を向けてみてください。