メンタルヘルスケアとは?必要性や企業が取り組むべきことを解説!
メンタルヘルスケアとは?必要性や企業が取り組むべきことを解説!
メンタルヘルスケアとは、心の健康を維持・向上させるための手当てのことです。従業員のメンタルヘルスが悪化している場合、生産性の低下や労災事故の発生などにもつながりかねません。
気分の落ち込みは職場環境や人間関係から受けるストレスが起因していることも多く、企業はメンタルヘルスケア対策に注力することが求められています。
今回は、企業活動の原動力である従業員のメンタルヘルスケアについて、基礎知識や有効な手段をご紹介します。
メンタルヘルスケアとは?
そもそも「メンタルヘルス(mental health)」とは、心の健康や精神的な健康のことを指します。気分が穏やか、明るい気持ち、やる気がみなぎる、といった心の状態をイメージすると良いでしょう。
「ケア(care)」は配慮や気配り、お手入れといった日本語に訳されます。つまり「メンタルヘルスケア」とは、「心が健やかな状態であるようにサポートをすること」と言い表すことができます。
厚生労働省では、メンタルヘルスケアについて「全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践すること」と表現しています。
企業にとって従業員のメンタルヘルスの課題は、組織の生産性やリスクマネジメントに大きく関わります。上記に「全ての働く人」とあるように、ストレスを抱えている人やメンタルが不調な人だけでなく、心が健康な状態にある人のメンタルヘルスにも配慮する必要があるでしょう。
円滑な企業活動のためにも、従業員が健やかに働くことができる組織づくりが求められています。
ストレスチェックの義務化とその目的
企業のメンタルヘルスケアの一環として、従業員のストレスの度合いを把握する「ストレスチェック」という制度が設けられています。
ストレスチェックは2015年12月の「労働安全衛生法」改正によって、50人以上の労働者(従業員)がいる事業所に義務付けられました。全ての従業員を対象とし、年1回の検査が求められています。
検査の手順は、従業員がストレスに関する質問に対して回答し、管理者がそれを集計・分析して各従業員のストレスの状態を調べるという流れになります。
検査の結果は、企業が従業員一人ひとりの状態を把握するために活用でき、原因究明と対策にも役立ちます。加えて従業員本人にも結果を通知し、自身のストレス状態を知り、メンタルが不調に陥ることを未然に防ぐという目的もあります。
精神障害の労災補償の増加とその背景
職場でのストレスが原因と考えられる精神障害の労災補償は、年々増加傾向にあります。 厚生労働省の令和3年度の調査によると、労災補償の請求件数は2,346件、そのうち、支給が決定した数は629件となっており、前年度比21件増という結果になりました。 原因と認定された事象として最も多いものは、上司などからのパワーハラスメントに関するものでした。
その背景には、上記のストレスチェック制度が義務化されたことで、従業員がメンタルの不調に気が付きやすくなったことが挙げられます。加えて、メンタルヘルスケアに対する社会的な意識が高まったことなどから、労災補償の請求や決定の総数が上がったことも影響していると考えられます。
コロナ禍で悪化する従業員のメンタルヘルス状況
近年の新型コロナウイルス感染症拡大への対策として、多くの企業が従業員のリモート勤務をはじめとしたさまざまな取り組みを行いました。
感染への不安が募る中、従業員は新たな労働環境やこれまでと異なる業務フローへの適応を求められることでストレス過多となり、メンタルヘルスの悪化につながったケースが見られました。
例えば1人で行うテレワークでは、相談相手が近くにいない孤立感や、慣れないリモート環境での業務の滞り、行動制限に伴う運動不足などがストレスの要因になったと考えられます。さらに、業種によっては経営状況悪化への不安を感じる従業員や、業務の性質上、感染リスクを避けることができないことへのストレスを感じた従業員もいるでしょう。
企業は通常時から従業員のメンタルヘルスケアに配慮することはもちろん、コロナ禍のような非常時は、特に心理的サポートに取り組むことが求められます。
メンタルヘルスがもたらす悪影響
メンタルヘルスの不調はどのような悪影響をもたらすのでしょうか。ここでは、従業員自身と企業のそれぞれの立場からご紹介します。
従業員に与える影響
従業員のメンタルヘルスの不調はさまざまな精神疾患を引き起こし、業務だけでなく従業員の私生活にまで影響が及ぶことがあります。
例えば、不安障害は「手が汚れている気がして何度も洗ってしまう」「わけもなく激しい不安に襲われる」「人前で話すことができない」といった行動にあらわれます。うつ病では、気分の落ち込みや食欲の減退、集中力の悪化といった症状が起こります。
さらに、ストレスや不安感から心だけでなく自律神経の乱れを起こし、不眠や頭痛などの身体の不調としてもあらわれることがあります。
企業に与える影響
従業員のメンタルヘルスの不調は、企業にとっても影響が大きいものです。
気分の落ち込みや集中力が低下することによってミスの誘発や業務効率の低下につながり、従業員のパフォーマンスやチームの生産性が下がる恐れがあります。ストレスを抱えたままでは周囲の人とのコミュニケーションもままならず、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。
他にも、従業員の療養のための企業の医療費負担も増加します。休職者や退職者が出れば、その分をカバーするための人件費や採用活動に関わるコストも必要です。欠員が出ることで他の従業員の業務負担が増し、新たなメンタルヘルスの不調が生じかねません。
メンタルヘルスケアに有効な4つのケア
従業員のメンタルヘルスケアには、以下の「4つのケア」が有効だと考えられています。これは厚生労働省のメンタルヘルス対策にも取り上げられている項目で、「従業員自身」「管理監督者」「内部の専門スタッフ」「外部の専門スタッフ」の4者がキーマンとなります。
従業員自身による心のセルフケア
1つ目は、従業員自身が取り組む心のケアです。自分が抱えているストレスにできるだけ早く気づくことは、ストレスを軽い段階で回避するきっかけにもなります。 企業はセルフケア研修などを実施して従業員にメンタルヘルスについて学ばせたり、ストレスチェックを行って従業員自身に心の状態を把握させることが重要です。
管理監督者によるサポート(ラインケア)
2つ目は、部長や課長といったチーム内の管理監督者が、部下のメンタルヘルスに目を配りケアを行う「ラインケア」です。
メンタルヘルスが悪化すると従業員の「遅刻や欠勤が増えた」「表情に活気がない」「不自然な言動、ミスや事故が目立つ」といった、普段との違いが見られる場合があります。管理監督者は部下の異変にいち早く気づき、当人のサポートや専門スタッフとの仲介、職場の改善実施をするといった取り組みを行うことが重要です。
管理監督者が従業員の心の不調を診断することは難しいですが、メンタルヘルスケアへの知識を深め、リスクや対策方法を知っておくことが求められます。
産業医や産業保健の専門スタッフとの連携(内部EAP)
産業医や保健師、心理士といった専門的知識を持つスタッフと連携することも、有効なケアのひとつです。
労働安全衛生法では、50人以上の従業員が所属する事業場には産業医を選任する義務があるとされています。大企業になると、保健師や看護師、心理、カウンセラーなどが所属していることも珍しくありません。
そのような内部の専門スタッフと人事総務スタッフなどが連携して、従業員のメンタルヘルスにあたることを「内部EAP」といいます。
EAPとは「Employee Assistance Program」の略で、日本語では「従業員支援プログラム」といいます。組織内の専門スタッフがメンタルヘルスケアを担う内部EAPでは、従業員が困り事をいつでも相談できることが大きなメリットです。
社外の専門機関を相談窓口として設置(外部EAP)
社外のメンタルヘルスケアの専門機関を相談窓口として設置することを「外部EAP」といいます。メールや電話、外部機関の個室などが従業員との接点です。
メールや電話でも相談可能なため、内部EAPでは周囲の目が気になって相談できないという従業員も、目立つことなく活用できるというメリットがあります。
まとめ
企業における従業員のメンタルヘルスケアは、従業員の心身の健康を守るための基本的な義務で、生産性の向上や離職の回避といった面からも重要です。メンタルヘルスケア促進の対策としては、職場環境の改善もひとつの方法になります。
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