業務量を可視化するには?メリットから数値化の方法まで紹介
業務量を可視化するには?メリットから数値化の方法まで紹介
組織全体の業務量を可視化することは、従業員の業務負担を把握し平準化することや、生産性向上をはかる上で重要です。加えて、人事評価の公平化や業務品質の標準化など、業務量の可視化は多くのメリットをもたらします。 今回は、業務量の可視化を行うメリットや、具体的な方法などについてご紹介します。
業務量の可視化とは
業務量の可視化とは、組織や部門全体の業務量を「見える化」することです。
組織内の業務は、定型業務や突発的な対応が必要なイレギュラー業務を含めて、所属する従業員に分配する形で割り当てられています。しかし業務量を正確に把握できていないと、従業員の業務負担の偏りや、それに伴う過重な時間外労働の発生にもつながります。
こなしきれない業務量を指示したまま放置すると、従業員の不満を招き現場の生産性は低下します。従業員の満足度や生産性向上のためにも、業務量を正しく把握した上で従業員一人ひとりに適切な量の業務を配分し、適正化をはかることが重要です。
業務量を可視化するメリット
業務量を可視化することには、従業員の業務負担の把握や人事評価の公平化、組織全体の生産性向上など、さまざまなメリットがあります。
ここでは、この3つのメリットについてご紹介します。
組織や部門全体の業務量を可視化することで、従業員のそれぞれの業務負担がどの程度かを把握できます。
全体の業務量を把握できていない状況下では、従業員一人ひとりにどの程度の負担がかかっているのかを正確に理解するのは困難です。上司やマネージャーは「適正な業務配分ができている」と思っていても、実際には特定の従業員に大きな負荷がかかっている状況や、現場がスムーズに回っていないといったケースが常態化していることもあります。
そこで業務量の可視化を徹底できれば、従業員の業務の再分配、負担軽減を実現できます。
人事評価が公平化する
公平な人事評価ができるようになることも、業務量を可視化するメリットのひとつです。
それぞれの業務量を把握できていないと、実際には他のメンバーより多くの業務をこなしている従業員に相応の評価を与えられない可能性もあります。すると、該当の従業員が「自分はほかの人に比べて業務量が多いのに、会社が適正な評価をしてくれない」と感じるのは当然で、組織に不満をもつ原因の一つになってしまうでしょう。
業務内容と業務量を可視化し、その内容に見合った人事評価をできる環境を整えることは、従業員の不満を軽減するとともに、公平な職場風土を醸成することにもつながります。
組織全体の生産性が向上する
業務量を正確に把握し適正に分配できれば、組織全体の生産性も向上します。
たとえば特定の部門に多くの人員を配置している一方で、ほかの部門において人手が足りていないような状況は、生産性が低いとされる代表的な例です。このような場面では、人手が足りている部門から人手不足に陥っている部門へ適切に再配置することで、生産性の低い停滞した状況を解消することができます。
限られた従業員のリソースを有効活用し生産性を最大化するためには、業務量の把握が効果的だと考えられます。
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業務量を可視化するときの注意点
業務量を可視化するときの注意点として、目的を共有し、PDCAを回しながら進めることが挙げられます。
ここでは、それぞれの注意点についてご紹介します。
目的を共有する
業務量を可視化する際は、まず組織内で目的を共有することが大切です。
「なぜ業務量を可視化する必要があるのか」を、組織に所属している従業員が理解していないと、全員が同じ方向を向いて取り組むことができず十分な成果が得られない可能性があります。
業務量を可視化することによって解決したい課題は、前述したような業務負担の軽減や生産性の向上、人事評価の公平化など組織によって異なるでしょう。
そこで「自社が抱えている課題はどこにあるのか」を明らかにした上で、その課題解決のために業務量を可視化することを従業員全員が理解している必要があります。
PDCAを回す
業務量を可視化し改善策を実行するときは、PDCAを回しながら進めることが大切です。
一般的に現状の業務量を可視化した後は、自社の目的に沿って改善策を推し進めます。しかし改善策を実行した後に効果測定を行わなければ、その施策が期待どおりの成果を上げたのかどうかを把握することは難しいでしょう。
そのため改善策の実行後に効果測定を実施し、施策の成果がどの程度出ているのか、さらに改善できる部分があるかどうかを十分に検討した上で、次の施策に反映することが大切です。
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業務量を数値化する方法
業務量を数値化する方法はいくつかあるため、自社の現状に合った方法で進めることが重要です。
ここでは、代表的な4つの方法についてご紹介します。
1.実測法
実測法とは、実際に業務を行っている場面を観測し、業務量を導き出す方法です。この方法は製造業におけるライン業務など、業務手順やプロセスが決まっている定型業務に向いています。
実測法では、業務が行われている現場に配置された測定員が、従業員が対応している業務を目視しながら業務内容や業務量、所要時間などを記録します。現場の業務を第三者の目で見て把握できるため、より実態に即した結果が得られる点がメリットです。
ただし、測定される側の従業員は、測定員に見られているなかで業務を行うことになるため、平時以上に努力してしまいがちです。このことから、実態とは異なる測定結果が出る場合もあります。
2.実績記入法
実績記入法とは、従業員に記入用紙などの記録媒体を提供し「業務完了までにどのくらいの時間がかかったか」を記録してもらう方法です。紙やエクセルなど、記録方法は現場によってさまざまです。
実績記入法は従業員による自己申告であることから、正確なデータを収集するためには、従業員一人ひとりに「業務量」の定義を正確に理解してもらうことが大切になります。
業務内容や業務区分を事前に明確化しておくことが、結果を左右することに注意しましょう。
3.推定比率法
推定比率法とは、実績により業務量を記録するのではなく、1日の就業時間から逆算して業務量を導き出す方法です。一般的には、現場で働く従業員や統括する上司・マネージャーなどが測定を行います。
推定比率法では実績を記入する時間がかからないため、測定にかかる工数を抑えられる点がメリットです。手軽に業務量の可視化を行うことができるため、測定における従業員の負担感も軽減できます。
ただし、推定比率法はあくまでも推定による測定方法であるため、測定する人によって結果が変動しやすい点や、各従業員の業務内容を十分に把握していないと正確な測定が難しい点には注意が必要です。
4.合成法
合成法とは、さまざまな測定結果を参考に、ある特定の業務の「業務量」を推測し平均値を算出する方法です。対象となる業務を直接観測しなくても業務量を推測できるため、現場へ測定員を配置する必要がないというメリットがあります。
ただし、正確な測定を行うためには、測定のための明確なルール設定が必要不可欠です。加えて複数の測定結果を参考にするため、測定にかかる工数が膨らみやすいという課題もあります。
まとめ
組織や部門全体の業務量を可視化することで従業員の業務負担を把握し、負担軽減のための対策を行うことができます。さらに、人事評価の公平化や組織全体の生産性向上にも、業務量の可視化が役立つでしょう。
業務量の可視化を行う方法はいくつかあり、自社に合ったものを選ぶことが大切です。自社の課題が明確化できていない、明確化する方法がわからない場合は「業務量調査・業務見える化サービス」をオススメします。
また、施設管理業務や総務業務のタスク内容や進捗状況を管理することで、作業工数などを可視化できるソフトウェア「ファシリティマネジメントシステム『SINGU FM』」を提供しています。
業務量の可視化にお悩みの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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