ローリングストック法とは?企業で取り入れるメリットやポイントを解説

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2022年10月13日 配信
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ローリングストック法とは?企業で取り入れるメリットやポイントを解説

ローリングストック法とは?企業で取り入れるメリットやポイントを解説
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突然の災害時などに備えて、企業には防災グッズの備蓄が求められます。賞味期限内の食料品や日用品をストックしながら、期限切れで廃棄する備蓄品の量を最小限に抑えるためには、ローリングストック法の活用が効果的です。 ローリングストック法を活用すると、突発的な災害に備えながらも廃棄などの無駄が出にくい防災備蓄品管理が実現します。 そこで今回は、ローリングストック法の基礎知識や、企業での防災備蓄に取り入れるメリットとポイントについて解説します。

ローリングストック法とは

災害などの非常時に備えるための「ローリングストック法」が、個人だけでなく企業からも注目されています。
ここでは、ローリングストック法の意味や、企業で採用されている背景などについて解説します。

ローリングストック法の意味

ローリングストック法とは、非常食を購入し賞味期限が来る前に定期的に消費して、不足した分を都度補充する備蓄方法のことです。例えばカップめんを5個ストックしている場合、日常生活の中で1個消費したら、1個買い足します。これによって常に賞味期限の新しい食品を備蓄できます。
ローリングストック法は食品の備蓄方法として注目されがちですが、日用品や使用期限のある医薬品などにも応用が可能です。

ローリングストック法を企業で用いる

前述のように、ローリングストック法によって備蓄できるのは食品だけではありません。企業の場合、地震や台風など自然災害の発生時に、従業員を安全に避難させられるように防災グッズを確保することが推奨されています。

従業員の人数が多いほど備蓄する食料や日用品の数が増え、管理も難しくなります。しかし、ローリングストック法を活用して防災備蓄品を管理すれば、常に新しい防災グッズを備蓄できます。
定期的な点検にもつながるため「気がついたら期限が切れていた」という事態も回避できます。

企業でのローリングストック法のポイント

企業がローリングストック法を実施する際は、在庫管理や先入れ先出しの意識徹底が、効率的な運用につながります。

防災グッズの在庫管理表を作成する

備蓄する防災グッズの量が増えるほど、管理の難易度も上がっていきます。そこで自社が管理している防災グッズの在庫管理表を作成し、一元管理できる仕組み作りを行うことが重要です。

在庫管理表は、エクセルやGoogleスプレッドシートなどを活用して作成するのが一般的です。賞味期限や使用期限、購入日、備蓄品の種類、数量、保管場所などの情報を一覧にまとめて、ひと目で在庫を把握できる環境を整えます。
ただし、エクセルなどで管理する場合は、いつ・誰が・どの項目を更新したかを把握するのは難しいものです。またデータやファイル消失の恐れもあるため、最近はクラウドベースで手軽に利用できる防災備蓄品の管理システムを利用するケースが増えているようです。

先入れ先出しの管理を行う

ローリングストック法は古いものから順番に消費していくことで、廃棄リスクを最小限に抑えられます。古いものから順番に出庫する「先入れ先出し」を意識して運用し、賞味期限や使用期限切れが起こりにくい在庫管理を行いましょう。
備蓄品を管理するスペースでは、新しく購入した防災グッズを棚の奥に入れて、古い防災グッズを手前に並べることを徹底すると、スムーズに古い備蓄品から消費できるようになります。

ローリングストック法のメリット

ローリングストック法とは?企業で取り入れるメリットやポイントを解説

ローリングストック法は、突発的な災害への対処や、賞味期限管理を簡単にするなどのメリットがあります。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

突発的な災害への対応が可能である

近年では大規模な自然災害が多発しており、地震や台風、大雨などの災害がいつ発生するのか予測不可能な状況です。突発的な自然災害が発生すると、食料品や日用品などの物資は品薄となり、従業員の人数が多いほど全員分をまかなう量の備蓄品確保は困難となります。

ローリングストック法で日ごろから食料品や日用品を備蓄しておけば、もし営業時間中に突発的な災害が発生しオフィスに留まらざるを得なくなった場合にも、生活必需品の不足に悩まされることがなくなります。

賞味期限や使用期限の管理が簡単になる

通常の備蓄方法では、定期的に備蓄品の賞味期限や使用期限チェックを行い、期限が切れているものを廃棄して、破棄した分を新しく買い直すという作業が発生します。

しかし、ローリングストック法なら「古いものから定期的に消費し、使った個数分だけ補充する」作業を行うだけで備蓄が完了するため、賞味期限や消費期限の管理が簡単になります。また、期限切れ備蓄を廃棄する手間も省け、食品ロスを減らすことにもつながります。
ただし、備蓄品の期限切れ前に消費を促す必要があるため、社内のイベントや集まりでの試食や配布、フードバンク団体への寄贈など有効活用する方法を検討しておきましょう。

ローリングストック法のデメリット

ローリングストック法にはメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、代表的な2つのデメリットについて解説します。

保管スペースが必要である

ローリングストック法は定期的に備蓄している食料品や日用品を消費するため、すぐに取り出しやすい位置に保管しておく必要があります。そのため、十分な保管スペースを確保できない企業では、ローリングストック法をスムーズに運用できない可能性がある点に注意が必要です。

前述のように、企業を経営するうえで防災グッズの確保は必要不可欠です。そのため「保管スペースがないので備蓄をしない」のではなく、備蓄するための保管スペースを確保するように努めましょう。

長期保管できる食品はコスト高である可能性も

ローリングストック法は、基本的にどのような食品でも運用することが可能です。しかし、中長期的な運用を考えると一般的には賞味期限がある程度長く、災害時に手軽に食べられるレトルト食品や缶詰、栄養補助食品などを備蓄するケースが多いでしょう。

また長期保管に耐えられるように、それなりに包装資材がしっかりした商品を選ぶ必要があるため、価格がやや高くなる傾向があります。しかし、いざという緊急時に使えなければ意味を成しません。コスト高になったとしても、ローリングストック法の活用で無駄なく使い切ればデメリットも小さくなるのではないでしょうか。

ローリングストック法の手順

ローリングストック法とは?企業で取り入れるメリットやポイントを解説

ローリングストック法を行う際は、次の5つの手順に沿って準備を進めましょう。

1.備蓄量を把握する

まずは、自社に必要な備蓄量がどの程度なのかを把握することが大切です。備蓄量が判明しなければ、確保しなければならない保管スペースの広さや、かかるコストなども明らかになりません。必要な備蓄量が判明したら、実際に購入します。

農林水産省によれば、食料品の備蓄量の目安は1人あたり最低でも3日分とされています。可能であれば1週間分あると、さらに安全な避難生活を送りやすいでしょう。

2.品目と賞味期限・使用期限を記載して保管する

購入した備蓄品は、箱などに入れて品目や賞味期限・使用期限を明記しましょう。どのような備蓄品が入っているのかがわからなければ、使用するたびに開封して中身を確認しなければならず、管理の手間がかかります。加えて、賞味期限や使用期限を明記することで、古い備蓄品の所在をひと目で把握でき、期限切れによる廃棄を最小限に抑えられます。

3.保管内容をリスト化する

備蓄品がひと通りそろったら、在庫管理表を作成して保管内容をリスト化しましょう。
リストは在庫に変動があるたびにこまめに更新して、最新の状態を維持することが大切です。品目ごとに管理表を分けるのではなく、できるだけ1箇所にまとめてクラウドシステムなどで一元管理できる仕組みがおすすめです。

4.期限が近づいたものを消費する

在庫管理表の内容を定期的にチェックし、期限が近づいたものから順番に消費しましょう。期限が切れてしまうと基本的には廃棄しなければならないため、賞味期限や使用期限を正確に管理することが求められます。

5.消費した分を補充する

古いものを消費したら、消費した分だけ新しいものを購入して保管スペースに補充します。新しく購入した備蓄品の内容は、外箱に品目や期限を記入するだけでなく、在庫管理表にも忘れずに情報を反映しましょう。

まとめ

ローリングストック法を活用することで、突発的な災害にも備えることができ、さらに賞味期限や使用期限の管理も簡略化できます。備蓄品の管理負担を軽減するためには、ぜひ検討したい手法のひとつです。

しかし、管理する備蓄品の種類や量が多いと、日々の業務の中で備蓄品の管理が負担に感じられる場合も多いでしょう。パソナ日本総務部では、防災グッズの購入から在庫管理・新規購入に伴い不用となった備蓄品の無料引き取りまで、まるごと対応する「防災備蓄品ワンストップサービス」を提供しています。防災グッズの管理にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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