総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

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2021年06月28日 配信
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総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~
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総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

2020年に世界中で感染が拡大して以降、世界を大きく変えてしまった新型コロナウイルス。人々の生活、働き方に大きな変化がもたらされ、予測不能な事態や未知との遭遇が次々と起こりうる時代(VUCA時代(※))とも言われています。そんな時代において、従業員が企業に求めることも変化しています。
そこで今回は、総務が取り組むべき課題や事態収束後の対策などについてご紹介します。

※【VUCA】(ブーカ)
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)

コロナ禍において総務が見逃せない企業課題

総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

コロナ禍において総務が見逃せない企業課題は、「多様な働き方への対応」「社内コミュニケーションの低下」の2つです。

多様な働き方への対応

コロナ禍をきっかけに働く場は多様化。これまではオフィスワークが当たり前でしたが、現在は感染症予防対策のため「リモートワーク」で仕事をすることが増えました。
このような働き方の変化により、「人によって“働きやすい場”に違いがある」ということが明らかになってきました。 「リモートワークでも十分成果が出せる」という人もいれば、「オフィスに出社した方が働きやすい」という人もいるのです。

こうした状況において、企業は従業員に対して「できるだけ多くの“働く場の選択肢”」を提供する必要があると言えます。従業員一人ひとりがパフォーマンスを最大化できる働き方を選べるよう、選択肢を豊富に取りそろえる必要があるのです。

社内コミュニケーションの低下

オフィスに出社しない働き方が定着しつつある一方で課題となっているのが、社内コミュニケーションの低下です。これまでは会議やランチ、業務中、終業後など、さまざまな場面で従業員同士がコミュニケーションを図る機会がありました。しかし、リモートワークでは直接顔を合わせて交流することができません。そうした中で従来のように社内コミュニケーションがとれる機会をできる限り維持することも、総務の重要な役割なのです。

コロナ禍において総務が行うべき企業課題への対策

前述の企業課題を解決するために総務が行うべき対策案には、「総務のDX」「オンラインイベントの企画」 などがあります。

総務のDX

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、簡単に言うと「企業に変化・変革をもたらすためにITやICT・テクノロジーを使いましょう」ということです。
総務のDXで目指すべきことは、「生産性が向上し、ウェルビーイングが叶う働く場の実現」「俊敏かつ柔軟にVUCA時代に対応できる組織の実現」「戦略総務への進化」の3つです。これらの目標を掲げて取り組むことで、「より良い企業活動のために企画を立案し、考え、戦略を立てる総務」、いわゆる戦略総務を実現できます。

社員の状態をデータ化/可視化する

できるだけ多くの“働く場の選択肢”を作るには、「従業員を知る」ことが欠かせません。従業員一人ひとりを理解することで、確度が高い・使われる選択肢を用意できます。
従業員を知るうえで有効なのは、たとえば「出社して顔を合わせたら積極的に話しかけてコミュニケーションをとる」、「オンラインのイベントを総務が自ら企画して交流する」といった取り組みです。接点を多く設けて、従業員を深く知るようにしましょう。
また、働く場の分散によって以前のオフィスでは当たり前に見えていたものが見えづらくなっています。これからは従業員の健康状態・メンタル状態などを可視化のための装置として、デジタルデータの有効活用が重要になります。

コロナ収束後に残る企業課題

総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

2021年は「コロナ禍における企業課題の解決」に取り組むのが総務の役目ですが、感染拡大が収束したあとも企業課題は残ります。コロナ禍収束後に残ると考えられる企業課題は、「従業員からのリモートワーク継続要望」「エンデミックへの対応」です。

従業員が希望する働き方の二分化

リモートワークの本格導入が進むなか、「コロナ禍収束後もリモートワークのままがいい」という声も多数挙がっています。また、その一方で「リモートワークではどうしても生産性が落ちてしまう」「やはりオフィスで働きたい」という従業員も存在します。こうした両者の希望に沿う働き方を確立するには、サードプレイスをうまく活用することが大切です。なお、サードプレイスについては後述しているので、合わせてご覧ください。

エンデミックへの対応

エンデミックとは、インフルエンザのように、ある感染症が一定の季節または地域において繰り返し流行すること。新型コロナウイルスによる感染症も将来はそうなるだろうと、多くの科学者が予測しています。

そうなると、新たに浮き彫りになるのが「ワクチン接種にまつわる課題」です。日本政府は「新型コロナウイルスのワクチンを接種していないことを理由に解雇・減給・配置転換・取引中止などの不利益な取り扱いをすることは不適切だ」と言及していますが、現場レベルでは「ワクチン接種にまつわる課題が取り沙汰される事態になる」かもしれません。そのため総務としては、これらを想定しつつ準備を始める必要があるでしょう。

コロナ収束後に総務が行うべき企業課題への対策

エンデミックとなってコロナ禍が収束した後も、総務が行うべき企業課題への対策は尽きません。具体的には「サードプレイスの活用」「デジタル空間の活用」が挙げられます。

サードプレイスの活用

繰り返しになりますが、リモートワーク化を望む従業員が多くいる反面、リモートワークが合わず従来どおり出社して業務をすることを望む従業員もいます。この場合、コストカットのため面積を縮小したオフィスでは出社を希望する従業員を全員受け入れられないかもしれません。そこで期待されるのが「サードプレイス」です。

サードプレイスとは、会社・自宅以外の第三の場所を意味します。その種類は豊富で、自社で持つサテライトオフィスから専有スペースがあるレンタルオフィス、専有スペースを他社とシェアするシェアオフィスなどがあります。総務としては、「サードプレイスにはどんな種類があるか」「そこでどんな仕事ができるか」「自社においては、どのような地域にどのようなサードプレイスを置いたらよいか」などを考えておいた方が良いでしょう。

デジタル空間の活用

デジタル空間とは、ZoomやGoogle Meetなどオンラインで業務を行うために使用するツール上の空間です。画面越しに参加者同士で対話やチャットすることができ、録画・録音も可能。加えて会議中の画面・ファイル共有もできるデジタル空間は、リモートの有無に関わらず便利です。社外の方とも共有可能なので、会社説明会や取引先との打ち合わせなどでも大いに活用できます。

この「働く場としてのデジタル空間」について、「誰が主導権を握るのか?」「誰が管轄なのか?」という疑問が湧くかもしれません。結論からいうと、管轄は総務です。今後ますますニーズが高まるデジタル空間を適切にコントロールし、従業員が安全に利用できるようにするためにも、総務は導入方法・使い方・トラブルの対処法などをしっかり学んでおきましょう。

まとめ

日本だけでなく世界中の情勢を大きく変えることになった「新型コロナウイルス」はじめ、現代は何が起こっても不思議ではない、何が起こるかわからないVUCA時代になっています。前代未聞の危機を乗り越え、多様化する働き方に対応するには、総務の存在が必要不可欠です。最新動向を注視し、デジタルツールを駆使して予防策を講じながら、従業員がより働きやすい企業づくりを進めましょう。
あわせて、社外の専門家やプロフェッショナルと人脈を築いておくことも、コロナ禍・VUCA時代を乗り越える上で必要なことといえます。

資料ダウンロード(全22ページ)

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コロナ禍において企業や従業員が総務に求めていることは何か、そして新型コロナウイルス の収束後やエンデミック状態になったときに総務が取り組むべき課題は何なのか。総務担当者に知ってほしい業界動向や対策をご紹介します。

総務業界の動向2021 ~コロナ禍、VUCA時代における戦略総務のあり方とは?~

監修者プロフィール

豊田 健一 氏

株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長
一般社団法人FOSC 代表理事
一般社団法人ワークDX推進機構 理事

豊田 健一 氏


株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。
現在は、戦略総務研究所所長、一般社団法人FOSC代表理事、一般社団法人ワークDX推進機構の理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

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